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番外篇・ ページ6

驚くことは小太郎はまだしもあの銀時が人のために小遣いを使ったこと。僕はその事実に感動する。あの銀時が…小遣いを甘味に注ぎ込みジャンプを読み漁る銀時が、晋助のためにヤクルコを買ってきたのだ。
「ヤクルト好きだっただろう?」
「あぁ、ヅラ、銀時、ありがとな」
こちらも素直ではないのか、若干目を逸して言った晋助に、小太郎は僕と苦笑いをしていた。しかし目を逸らす銀時も、まっすぐ晋助を見る小太郎も嬉しそうである。だが、天邪鬼は最後に1言発すのだ。
「これで身長伸びるといいな」
余計な1言がなければ全て良しだった。本当に。
「上等だテメェ新しい竹刀でボコボコにしてやるよ!」
「やれるもんならやってみろコラァ!」
「高杉も銀時も落ち着け!」
「「うるせぇヅラァ!」」
「ヅラじゃない桂だ!」
「お前らいい加減にしねぇと松陽のゲンコツが降ってく…あ」
忠告する前に僕に影が差し、黒い笑みの松陽が立っていた。青い顔をした3人に影が向かって行き、軽い音と共に生首が3つできていた。
「A寝ましょうか」
「…ハイ」


その後、僕がちょうど夢の世界に行きかけた時のことである。ゆっくりと襖を開ける音がした。誰だ?と思い、細い月明かりの方へ目を向けるとそこには晋助が立っていた。
「…晋助、どうしたんだ?」
半分寝かけた声で尋ねれば蛍のように微かな声で呟く。
「一緒に寝て…じゃねぇ、あれだ、銀時とヅラが煩くて避難してきた」
目を逸らしながら晋助は言う。可愛らしい嘘に顔が綻んでいくのがわかる。甘えたい年頃であるのか、巷で噂のツンデレのデレであるのか。何にしろ普段甘えてこない晋助がそんなことを言って来たことが嬉しく、僕は布団を開けた。そのまま抱きしめれば顔を真っ赤にして怒る。
「おい、抱きつくな!」
自分から来たくせにそんなことを言う晋助が可笑しくて、もっとその顔を見たくて僕はそのまま松陽の布団に潜り込んだ。嬉しくて死んでしまったらどうしよう。
「…どうしたんですか?」
寝惚けているのか、僕の頬を撫でる。僕が目線を下ろすと松陽は晋助のことに気づき、ふふと微笑う。状況が理解できたようだ。
晋助が真ん中で僕が晋助に抱きつき、松陽が僕と晋助を抱いている形だで寝る。包容力が違う。とても安心できる場所だった。晋助の背を一定に叩く。直ぐに寝息が聞こえ、僕も寝ようとした時、松陽が僕にも同じことをしてきた。なるほど、心地良い。
「おやすみなさい」
その言葉に答えられたのか定かではなかった。

42話→←番外篇〜高杉晋助生誕祭〜


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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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