53話 ページ18
A達を送り出してから数時間、私は1人で留守番をしていた。静かだった空間には風がそよぐと風鈴が鳴る。夏を感じさせる音色であった。
そんな中私は1人先程の出来事を振り返る。気づいたらAに触れていた、あの時だ。私よりも少し低い背で優しく笑って上目遣いなんて、私に対して効果がありすぎる。もうキスしてしまおうかと思った。付き合っているのならいいのでは?ふにふにと唇を触りながらそんなことを考えたが、思わぬ「噛みつくぞ?」で理性を保つことができた。危ない、じっくり慣らすと決めたはずだ。でも噛みつかれるのも魅力的ではある。特別がほしい。
死に至る病は絶望だと誰かが語ったが、私の場合は好きと言う感情である。言うならば「キュン死」である。
どうしょうもなく好きだから誰にも取られたくないと思ってしまう。私を追ってくる天導衆にも、勿論
せっかく手に入れた幸せを手放したくはない。子供達もAも大切だから私は今日も戦っている。
元気なただいまと言う声に玄関へ向かう。少しの時間合っていないだけで寂しいと感じてしまう私は可笑しいのか。私とは正反対にいつもそんな素振りを見せないAに不安になる。
そんな考えを放り去るようにA達を出迎える。
「おかえりなさ…」
最後まで出なかった言葉は空に消えた。
「「ハハハ…」」
バツが悪そうに目を逸らして乾いた笑いをこぼす4人にため息を吐く。まぁAと子供達ならそんな気はしていた。そうだ彼女達が水で遊ぶのにびちゃびちゃに濡れる以外の選択肢はない。それが注意をしていても、だ。絶対に頭から足まで濡れて帰ってくる、予測できていたことだろう。子供達は言わずもがな、Aも子供っぽいというか少年みたいなところがあるから。
「松陽ごめん…」
幻覚か。あの時のように耳と尻尾が見える。しゅんと下に垂れているように見える。末期かもしれない。
私の口は自然と動いていた。
「Aはお風呂入ってらっしゃい。風邪を引きますよ」
「贔屓だ!」
「贔屓じゃないですレディファーストです」
「銀時達が風邪を引いてはいけない。…一緒に入る?」
「「年頃の女がそんなこと言うものじゃありません!」」
「えぇ…」
渋々といった感じでAはお風呂に向かった
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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時