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46話 ページ11

任せると言っても、ここまで(どのくらいの付き合いかは知らないが)手ェ出してこなかった松陽だ。Aが恋心を完全ではないものの、知ったところで互いが何か事を起こすとは考えられなかった。
松陽はいつもAを見つめているだけ。Aも無自覚に松陽を目で追って幸せそうにしている。たまに手繋いでたり無自覚イチャコラしているけど、ヘタレと無自覚が合わさると亀もびっくりのスピードで事が進まない。
俺達はどうすれば2人が引っ付くか考える。
「2人のもどかしさは見てられん。今日しかないだろう」
ヅラがそう言って、俺と高杉も頷く。俺だって失うなら早い方がいい。
「先生がAを酒盛りに誘えばいい」
「Aと松陽って酒呑むの?俺見たことねぇわ」
「俺も見たことはないが…おいA、先生とAは酒は呑めるのか?」
「普段は呑まないが嗜む程度には」
決まりだなと高杉が言う。作戦は勝手にだが決まった。あとはコレを松陽に言って任せるだけだ。俺達はAを部屋に置いて松陽の所へ向かった。

俺達が遠巻きに見守る中、松陽はAの元へ足を運んだ。高杉が「夜這いみてぇ」なんて言うのを俺は蹴って黙らせた。滅多なことを言うんじゃねぇ、そう言うように。高杉は俺にギャーギャー噛みつくが、ヅラがそれを止める。直ぐに大人しくなったのは2人の邪魔をしたくないのは俺達同じだからだろう。
でも俺の中でそうあればいいと思う気持ちもある。そっちの方が諦めが付きやすい。松陽の誘いに嬉しそうに笑うAを見てそう思う。あの顔で好きかわからないは嘘だろ、そう言ってやりたい。
「銀時…お前…」
ヅラが何かを察したように呟く。高杉も珍しい顔をしていた。
「…あとは任せよーぜ。流石のあいつらでもあそこからならどうにかするだろ」
「…今更だがお前はこれでいいのか」
ヅラが俺より苦しそうに言う。
「最初から何もなかった。全部、なかったんだ」
あの笑顔もあの声も最初から俺のものじゃない。溢れたものを拾ってただけだ。
初恋は実らない、とは言えない。Aは実るんだから。
楽しそうにでも少し恥ずかしそうに遠のく2つの背中を見つめて呟いた。
「末永く爆発しやがれリア充共」


水面に月が映っている。そんな場面から李白を連想してしまい、それについて松陽と語ろうとするが、僕の口は開かなかった。松陽の方を向いた時、目が合うが、それがひどく優しい目をしていたからだ。また慈しむように僕を見つめている。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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