七話 ページ8
｢さっきまで命の危機だったのに、すぐに元気になったね、キミ……能力だよ、こっくりさんとしての。未来を燃やして操っただけ｣
ごうごうと燃える炎に包まれ、巨頭オは声にならない悲鳴を上げる。これっぽっちじゃ死なないけどねと、安心するような、不安なような声で、笑いながら彼は言う。
かんなは眼前に迫っていた危険は消え失せたと判断して、くるりと後ろを向く。彼の姿の確認である。
思ったよりは美丈夫で、くしゃくしゃの白髪は、炎の光に当てられて、こんがりとした金色に光り輝いている。
彼のにこりとした笑顔は、確かに尊いものだが、それより胡散臭さの方をかなり感じる。恐らく、その糸目が原因であろうが……
｢それで、状況を説明してくれない？ボク、まだ腕とか熱いんだけど｣
そんなことより状況の確認。流石にこんな事態は想定外である。別に悪くはないが、状況の確認くらいはしておきたいのだ。恐らく目の前の彼は、この世界について知っているのだろう。
それに、あの時の血が燃える感覚が、未だに腕に残っている。気休めにもならないが、かんなは腕を振る。
｢うーん……そうだね、そうしたいのは山々なんだけど、キミの知り合い？は倒れてるし、きっとここに適応できなかったんだろうねぇ……うーんと、一回元の世界に戻ってから説明しようか。俺と契約した以上、キミも、この人らも、皆、皆、被害者だ！ということは必然的に協力をしてもらうよ｣
段々と笑いを含み始めるその言葉に、かんなは一体どういう事だと声を掛けようとした。しかし、息を吸う暇も無く、再び世界が暗転したのだった。
｢痛たた……って部室じゃん！？｣
｢へぇ、これがキミ達の部室だったんだ。人数の割にはお粗末じゃないかい？｣
｢うるさいな！こんな立派な部室に文句あるの！？｣
｢どうどう、ごめんって、俺が悪かったさ｣
反省の色が一切見えないものの、かんなは頬に溜めた空気を吐き出した。
実際、部室がお粗末なのは事実ではあるものの、三年もいたら愛着が湧くものなのだ。
｢それで？どういう事か説明してくれるの？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽんたこ(プロフ) - 嵩画さん» お返事遅れ申し訳ありません……学業、バイト等々が一段落つきましたので、更新するよう努めます……！ (2021年6月17日 22時) (
レス) id: 3c612b46c4 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いております。どうぞ無理のない範囲で更新頑張ってください…！ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 7cfb5b094b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
