四話 ページ5
頭を殴られたような酷い頭痛と、形容しがたい寒さで、かんなは目を覚ました。
「……は?」
有り得ない状況に、思わず立ちくらみを起こしそうになる。どんなものでも大体はポジティブに捉えることが出来るかんなも、流石に理解が追いつかず、動揺を隠せないようだった。
「何処、ここ。え、ちょっと待って!?何ここー!?やば、空赤いし、空が地面だしー!!」
……撤回する。彼女はどこでも変わりない。
現在、彼女は文字通り、「空に立っている」。おまけに、誰が見ても危機を感じるような、真っ赤に染まった空に、足をつけている。
彼女の言葉通り、天と地がひっくり返っているのだ。真っ赤な空に足をつけ、空を見れば、真っ白な地面が顔を覗かせる。よく見れば、ビル群のような物が、少しづつ、少しづつ、風化するかの如く崩れている。さながら雨のようであった。
「ちょっと、おまえら起きて!やばいよ!絶対異世界だってこれ!」
きゃっきゃっと、子供のようにはしゃぐかんなだが、一向に返事は来ない。見たところ全員いるようだが、ある程度固まってはいるものの、全員バラバラに倒れている。
「え、死んでる?」
ふと怖くなり、かんなは一番近くにいた部員の腕に手を当てた。
「脈拍は正常だよね、顔色も悪くないし……いや、普通じゃん」
しかし、揺らしてみても、至近距離で声を掛けてみても、部員は微動だにしない。それこそ、屍のようだ。
それでも、残念ながら医師ではないので、詳しいことは分からないが、死んではいないことだけは確かではある。
困惑ばかりが残るこの状況に、かんなは頭を悩ませる。恐らく、例の召喚は成功した、いや、成功してしまったのだろう。それによって、「何か」が召喚され、よく分からない異世界に連れてこられてしまった。一種の神隠しとして、この世界から帰れるのか、それとも――
「うーん……どうすっ……え!?何あれ!?」
探索したいのも山々だが、部員を置いていくのも忍びない。部員の周りを行ったり来たりしていると、少し遠くの左の方に、謎の物体を捉えた。
人、だろうか。頭が大きく、胴の二倍はあるのではないだろうか。見たところは一体のみ。
そんな奇妙な姿に、ひとつ思い出すものがあった。
「巨頭オ……?」
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ぽんたこ(プロフ) - 嵩画さん» お返事遅れ申し訳ありません……学業、バイト等々が一段落つきましたので、更新するよう努めます……! (2021年6月17日 22時) (レス) id: 3c612b46c4 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いております。どうぞ無理のない範囲で更新頑張ってください…! (2021年6月2日 0時) (レス) id: 7cfb5b094b (このIDを非表示/違反報告)
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