十四話 ページ15
｢じゃあ、これで全員？｣
昨日と同じように、こっくりは机に腰をかけ、部員から貰ったお茶請けを頬張っていた。距離を取っていた部員も、昨日よりかは彼と近づいている。
｢うん。名簿にチェックは付けたし、多分！｣
｢そんな曖昧な……｣
かんなの返事に苦笑して、こっくりは出されたお茶を飲み干した。
｢にしても、全員来たとは……やっぱりアレだけ嫌々言っても、体は正直だったワケだ！｣
｢誤解を招く表現はやめようや｣
健全な高校生諸君をからかうと、灰里が思わず鼻で笑った。
興味があったというよりは、あれだけ脅されて来ない方がどうにかしている。一同は内心そう思いながら、笑いに似た何かを零すのだった。
｢うん、緊張は解れたかい？何度も言うけれど、俺はキミ達と敵対するつもりなんて一切ない！そう怯えないで｣
部員達は思わず顔を見合わせた。ついでに瞬きも三、四回。確かに、先程までのしかかっていた肩の重荷が、どこかに行ったような気がしたのだ。
｢それじゃあ行こう。とはいえ、これから何回も行くし、この度に俺を呼ぶのも不便だよね……｣
白髪をくしゃくしゃと揉んで、それからえいっと、間抜けな声をだすと、彼の手の上に、火の灯った蝋燭が現れた。
なんら不思議な点の無い、細長い蝋燭。理科の授業で見るものと大差はなく、赤々とした火が灯っている。
そしてこっくりは、どこから取り出したのか、アンティークな燭台の上にそれを乗せ、ガラスドームを被せる。
机の上に載せれば、少し洒落た照明にしか見えなかった。
｢これ何〜？普通に綺麗なんだけど？｣
円が身を乗り出す。彼女以外にも、普通の火より真っ赤に近い光に、思わず興味を示すものは居たようだ。
｢コレはね、終末都市世界への入口。ま、冗談だけど。あぁでも嘘じゃないんだ。俺の能力で作った火を蝋燭に付けた。んで、俺の能力は、"未来の焼却"。未来を観て、その内の何かを燃料として燃やすことが出来るんだ。でもまぁ、未来を燃やしまくると時空が歪むんだ。だから、それを利用して無理やり終末都市世界へと繋ぐ｣
なかなかに物騒な事を言いつつも、彼はなんとも思っていないのか笑顔を崩さない。
｢それ、危険じゃないの？戻って来れないとか、変なところにワープしちゃうとか｣
懸念したかんながこっくりに問う。彼は首を横に振り、それから何度か頷いた。
｢別に？俺の名前に懸けて、安全だって証明するよ。必ず、終末都市世界には辿り着くし、帰り方も簡単だ。だから……ほら！｣
そう言って、彼は不安そうに眺める面々の前で、思いっきりガラスドームの蓋を開けた。
続く
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ぽんたこ(プロフ) - 嵩画さん» お返事遅れ申し訳ありません……学業、バイト等々が一段落つきましたので、更新するよう努めます……！ (2021年6月17日 22時) (
レス) id: 3c612b46c4 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いております。どうぞ無理のない範囲で更新頑張ってください…！ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 7cfb5b094b (このIDを非表示/違反報告)
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