十二話 ページ13
｢げっ、生徒会だ……｣
かんながあからさまに低いトーンで言う。部員達も慌てるように各々の鞄を持ち出して、鍵とカーテンを締めだした。
｢時間切れだね。それじゃあ、明日、放課後。オカルト研究会の部室で待ってるよ｣
こっくりはそう言って、炎のように揺らめいて、ふっと消えた。今日はこれにて解散だ。
｢随分と面倒事に巻き込まれたッスね……｣
｢んー、でも、面白そうやんな？｣
｢そうね。私達の目で怪異が実在することを確かめられた訳だし｣
彼が居なくなったからか、一気に肩の荷を下ろす部員らが増え始め、口々に感想を言い合う。
｢そんで？皆は明日行くんすか？私は行きますけど。気になるし｣
東名がふと、鞄を持ち上げながらそんな事を口にする。部員らは一瞬の沈黙の後、息を揃えて言った。勿論選択肢はひとつ。
｢行く｣
部員らの理由としては大まかに三つだ。
｢だってよ！気になるじゃんか！ぶちょーだけ見といて！俺ちゃんも見たいっ！｣
旭や満点、灰里らの、気になるからという好奇心。部員の半数はこれだろう。
｢皆が行くなら……それに、危険なところっぽいし、本当は皆には行って欲しくないけど、行ってしまうなら僕もついて行く｣
皆が行くなら仕方ない。朔や瑠亜、歌乃がそれらしい事を言っている。
｢こ、怖いけど、……一人で残って襲われるのはもっと嫌！｣
そしてまゆらの、一人で襲われるなら皆といたい。確かにあのように脅されては、迂闊に一人歩きなんてできたものでは無い。
｢早く出てきなさい！下校時刻を守らないつもりですか？これまでルールを守って活動していたのでこちらも目くじらを立ててはいませんでしたが、このような事になるなら、廃部も視野に入れますよ｣
生徒会の堪忍袋の緒は随分と切れ気味で、お茶を濁してる場合ではないと、今までよりもより一層慌てて、部員らは部室を飛び出すように後にした。
｢はい、これ鍵！それじゃあ帰るから！生徒会長さようなら！｣
外に出れば、夕日は地の端でなんとか持ち堪えて、真っ赤な光を届けようと精一杯になっていた。
しかし力尽きるのはあと少し。弱々しく、遠くの建物にその色を写すだけで、かんな達には届きそうにもない。
｢……こんな色だったな、あの世界も｣
｢こんな世界の終わりみたいな色しとるん？｣
真っ赤な夕日の反対側には、真っ白な月が僅かに見える。その狭間には、僅かではあるものの、きらめく星があった。雨上がりだから不純物が少なく、普段なら見えるはずもない時間でも、随分と綺麗に星が見えていた。
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ぽんたこ(プロフ) - 嵩画さん» お返事遅れ申し訳ありません……学業、バイト等々が一段落つきましたので、更新するよう努めます……！ (2021年6月17日 22時) (
レス) id: 3c612b46c4 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いております。どうぞ無理のない範囲で更新頑張ってください…！ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 7cfb5b094b (このIDを非表示/違反報告)
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