一話 ページ2
この出来事の発端は、少し前に遡る。
｢よっしおまえら！今日はネットに載ってた魔法陣で、本当に霊が召喚されるのかを試すぞ〜！ちなみに全員いるよね？てか、課題は終わってる？｣
椅子の上に乗り、いえーい、と小さな拳を突き上げて盛り上がるのは、オカルト研究会部長、橘かんな。その小さな見た目に反して、これでも高校三年生である。
どうやら今日は真面目にオカルト絡みのものをやるらしく、机の上には幾何学的な模様が描かれた紙が乗せられている。その胡散臭さが、如何にもそれらしい。
｢……も、もしそれで本当に召喚されたら……！｣
弱々しい声が、少し離れた所から聞こえる。みれば、後輩である白鮫瑠亜が、その薄い金髪を僅かに揺らしていた。
ただ、本気で彼が嫌がっている訳ではないことは知っている。
なんせ中等部、高等部と、ずっとこの同好会にいるのだ。一歳違いではあるものの、付き合いは長い方だろう。それこそ、関わりのないクラスメイトよりは、よっぽど。
｢んま、大丈夫大丈夫！なんかあったらボクが責任取るって！｣
｢つーか、ネットなんかの魔法陣で召喚できる訳ないですやん。ま、召喚されたらされたで面白そうやけど｣
疑いを含みながら呟いたのは、涼風灰里。斜に構えているものの、マスク越しでも分かるくらいに口端を上げているばかり、楽しかったらなんでも良いのだろう。
｢いいえ、幾らインターネットからのソースだからといえ、否定するのは良くないわ。あそこは人間には理解し得ない世界なのだから、人間が決めつけるものじゃないのよ｣
｢え……今日怖いのやるんですか！？帰ればよかった……｣
｢まぁまぁ、まゆらさんは怖かったら目をつぶってて。儀式の間、お茶でも出そうか？｣
｢お茶請けなら私、持ってきましたよ。一緒に食べましょうか。｣
口々に話し出す部員を見て、楽しそうでなによりと、かんなは笑みを浮かべる。しかし、こうもまとまりが無いと、活動時間は過ぎ去り、あっという間に夜になってしまう。今日の目的を果たされないのは問題だろうと判断し、僅かに声を張り上げた。
｢おーい！話すのはいいけどその辺にしろよ〜！儀式に取り掛かれないまま帰ることになるとか、ボクヤダからね！｣
｢確かにそれは嫌だな！とっととはじめちゃおーぜっ！｣
向坂旭は勢いよく首を振った。もげるんじゃないか、とふと思ったが、まぁ彼の事だし大丈夫だろうと、かんなは自分の中で完結させた。
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ぽんたこ(プロフ) - 嵩画さん» お返事遅れ申し訳ありません……学業、バイト等々が一段落つきましたので、更新するよう努めます……！ (2021年6月17日 22時) (
レス) id: 3c612b46c4 (このIDを非表示/違反報告)
嵩画(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いております。どうぞ無理のない範囲で更新頑張ってください…！ (2021年6月2日 0時) (レス) id: 7cfb5b094b (このIDを非表示/違反報告)
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