獣の耳 ページ4
「エテルノは、治安が悪いとは聞いてたけど・・・。到着早々、洗礼を受けるとは思わなかった。
さっきの泥棒を引き渡そうにも、衛兵もいないって言われて、驚いたよ。
港の自警団がいたから、よかったけどさ」
その言葉にうんうんと頷くホープ。
「他の星から来た人はみんなそう言うね。子供の時からこうだから、よく分かんないけど」
「そうなのか・・・」
「昔あった戦争で、王様もいなくなっちゃったしね」
「噂だと、その王様の子供が生きてるって話だけど」
私の言葉にものすごく驚くホープ。
「そうなの!?」
「噂よ、噂。本当かどうかは誰にも分からないけど」
「戦争があるまではこの星も住みやすかったみたいだけどね。今みたいに乱暴なことも少なかったって」
「そんな環境でも、アンタ達みたいに親切な奴もいるんだな」
そりゃそうよ。
エテルノのみんなが全員悪い奴じゃないわ。
「生まれた場所なんて関係ないか」
青年の言葉に笑顔で頷くホープ。
「そうそう」
「ところで、さっきから気になってたんだけど・・・。
2人とも、オレの耳ばっか見るの、止めてくれないか」
気づいてたか。
その耳、可愛いんだよね。
ちょっと垂れてて。
「助けてくれたことには礼を言うが、あんまりジロジロ見ないでくれ」
真っ赤になって隠そうとする青年に、私達は慌てて言った。
「え?隠すの?もったいない!」
「もったいない?」
まるで、そんなことは初めて言われたという顔の青年にホープは続ける。
「ふさふさしてて、毛並みも綺麗だし、垂れてるのも格好いいじゃん!」
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作者名:壮花 | 作成日時:2019年10月2日 21時