1日ひとつの役に立つこと ページ3
ビュオオオ・・・
「ふう・・・。今日は一段と砂嵐がひどいや。にしても、ストラグルも来るなんて思わなかった。いっつも僕がすることに反対してたのに」
確かにホープの言う通り、いつもの私なら反対していた。
だが、なにか嫌な予感がしたからだ。
何か起こってはいけないものが起こる、そんな予感が。
「ホープが行くなら私だって行くよ。私もカース好きだし」
漁港の方に出ると、そこにはたくさんの宇宙船があった。
「よーし!頑張るぞー!」
そう言って始めた宇宙船探しだったが、やはり誰も乗せてくれそうにない。
小さい方の港へ向かおうとした時だった。
「ひったくりだ!誰か止めてくれ!」
見ると、私達の方にひったくり犯が走ってきていた。
ピュウウウ・・・
その時、大きな砂嵐が吹いたと思ったら、ひったくり犯を追っていた青年の帽子が取れた。
帽子から出てきたのは、獣の耳。
べスティアの星の人、か・・・。
エテルノの人はめったに見ない為、彼の耳を見てこそこそ話し出す。
「なんだ、べスティアの耳付きかよ。ケモノは大人しく、サーカスの檻にでも入ってな」
その言葉にカチンときたホープは、私を庇うように前に立ち、泥棒に一蹴りしようとしていた。
しかし私が前に出て、泥棒の脇腹へ一蹴り。
泥棒がふらふらした隙に、みぞおちに一蹴り。
泥棒はお金を落として逃げ去っていく。
そのお金を拾って、青年に渡した。
「はい。犯人は逃げちゃったけど・・・」
「お金を取り戻してくれてありがとな。助かったよ」
「気にしないで」
「そうそう。こういうのは、巡り合わせだから。タイミングが良かっただけだよ。
それに、1日にひとつ、町の人の役に立つことをしようって、決めてるんだ!ストラグルのせいで、出来なかったけど」
そう言ってぷくっと頬を膨らますホープに少し笑いながら答える。
「ごめんって。でも、どうせならこんな危ない役に立つことよりももっと安全なやつにしてよ。私の心臓、いくつあっても足りないから」
「はーい」
ちょっと棒読みな返事に、また何か危ないことに突っ込むでしょとホープを見ると、案の定目を逸らした。
やっぱりまたやる気だ。
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作者名:壮花 | 作成日時:2019年10月2日 21時