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玄関の前に座ると岩本は煙草を咥えた。
愛用のジッポで火をつけると同時に、深澤が口を開く。
fk「やっぱり……思い違いじゃないよな」
iw「ふっかもそう思ったって事はそういう事だよな」
煙を吐き出しながら岩本が呟く。
岩本も深澤も考えていた事。襲ってきた男を見て思った事。
＿＿何処かで彼を見た事がある。
iw「二人で仕事してた時か?」
fk「流石に昔の事は覚えてねえぞ……」
宮舘が顔をほとんど殴らなかったおかげで男の顔をしっかり目撃した二人は必死で記憶を辿った。しかし確信を持てるような記憶など出て来ない。
iw「だって施設にいた子ならちゃんと覚えてるだろ、俺はともかくお前なら」
fk「俺もそう思う……けど」
iw「けど?」
fk「俺達がいなくなる直前に来た子だったらわかんない」
施設の中心人物であった深澤は、施設にいた子や職員の事を今でもそれなりに覚えている。
しかし自分が堕ちてからは話が別だ。施設を去るまでに新しい子が来たような気もするが、その子と仲良くする気力など当時の深澤にある訳が無い。従ってその時期に来た子の記憶は皆無に等しい。
iw「……あいつ俺達より年下だよな」
fk「俺達がいなくなった時に小学生? 中学生くらい?」
iw「多分……そもそもそんな時期に誰か来たか」
fk「そんな事気にしてる場合じゃなかったから覚えてない」
男の容態が改善したら、渡辺を狙った件について話を聞かなければいけない。
それが終わればきっと彼は葬り去られる。当然だ、顔も名前も、彼に知られた事が多すぎる。
しかし彼が何者かによってはそうもいかなくなるのかもしれない。
少なくとも岩本と深澤は、彼の事を思い出すまでは殺しに反対する。
iw「っ……あーくっそ、」
煙草を携帯灰皿に押しつけた岩本は、物足りないのか再び煙草の箱を取り出す。
咥えて火をつけている間に横から手が伸びてきた。深澤が煙草を一本抜き取った。
iw「おい」
fk「俺にも吸わせて」
iw「自分の吸えよ」
fk「ばたばたしてたから全部置いてきた」
岩本が仕方なくジッポを貸そうとした時、煙草を咥えた深澤がその先端を岩本の煙草の先に押しつけた。
岩本の煙草の火がじわり、と深澤の煙草に浸食していく。
iw「……口説くような真似するんじゃねえ」
fk「こっちの方が早いじゃん」
思わず岩本が目前の深澤を睨み付けると、深澤は煙草を合わせたまま口角を上げた。
深澤が煙草を指で挟んで煙を吐き出してからは、二人は無言でただ煙を吸い込んだ。
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怜(プロフ) - 如月ﾖｼﾉ。さん» ありがとうございます! そうですめめです! ゆっくりですがこれからもお付き合いよろしくお願いいたします! (2020年7月16日 21時) (
レス) id: 03141f9b41 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 移行おめでとうございます！次の加入組はめめですかね？今後の展開も楽しみにしています！ (2020年7月13日 0時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年7月12日 15時
