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恋情色《モトキ》 ページ49

「モトキくんを色で表すなら、恋情色だな」

「れんじょういろ…?」

「そう、恋情色」

彼女は絵具を片手にそう言った。
恋情色なんて、聞いたことないな。

「どんな色なの?」

「どんな色だと思う?」

恋情色、"恋情"と付くくらいだから、

「淡いピンクとかかな」

「ぶぶーっ」

口元で指を交差してバツマークを作る。
どうやら外してしまったみたいだ。

「じゃあどんな色?」

俺がそう尋ねても、彼女は勿体ぶってなかなか教えてくれない。

「私、パレット洗ってくるね」

絵具で汚れたパレットを片手に、廊下の水道に向かうA。
美術部の彼女は、作品の提出が近いらしく、最近はずっと部室にこもって絵を描いている。
たまにこうやって、部室にお邪魔して彼女と話すことが、放課後の楽しみになりつつある。

廊下で響く流水音。
パレットを洗いに行った彼女はなかなか戻ってこない。

不思議に思って廊下に出ると、水道の前に立つ彼女の姿があった。

「A…?」

「モトキくん」

「なに?」

「恋情色ってね、青なんだよ」

彼女はポツリと呟いた。

水道の音がうるさい。
それ以上に、心臓の音がうるさい。

「私、青色好きなの」

水の音がなり止んだ。
彼女の髪が揺れる。

「恋情色が、一番好き」

彼女との間を吹き抜ける、夏風。

「俺も好き」

「見たことないのに?」

彼女が吹き出す。
それに釣られて、俺も笑った。

「さ、作業に戻りますか!」

「うん」


洗い終わったパレットを持って、俺の前を通り過ぎる彼女の指についていた絵具。

あれはきっと、恋情色。






※色の下りはフィクションです。本当は恋情色なんてありません。
小学生の時に読んだマンガに出てきたのを、ふと思い出して書いてみました。

作者より→←夏祭り《エイジ》クロハさんリク



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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時

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