【YouTuber】貴方の好きなところ【短編集】

夏祭り《エイジ》クロハさんﾘｸ ページ48

「え!?夏祭りに?」

「Aちゃんと?」

「エイジが!?」


「あ"〜〜〜、うるせえな!!!
お前ら声デケェんだよ!!!!!!」


ニヤケ顔の三人が、一斉にこちらを見る。
"言うんじゃなかった"そう思った頃には既にアイツらの耳を通った後で。

俺は小さく溜息をついた。


「で、どうすんだよ、もう誘ったのか?」

嫌らしい顔をしたそらが俺をつつく。

(うっぜぇ…)

「ま、まだ…」

「え、お祭り明後日だよね?」

りっくんがボソリ、と呟いた。
そう、残されたチャンスは今日と明日のみ。
なかなか誘うタイミングが掴めないまま、今日もまた放課後を迎えてしまった。

「えいちゃんっ、あれ、Aちゃんじゃない?」

「えっ」

窓の外を指すツリメに駆け寄る。

「あ、ホントだ」

手すりから身を乗り出す。
つり目の指す方向に目を凝らす。

「…っ」

ドキン、と胸がなった。
一瞬、世界が歪んで、それから自分の体温が上がるのが分かった。

「言っちゃえよ」

「そら…」

三人が俺の背中を強く叩く。

スッ、と大きく深呼吸。
今俺が伝えられる、精一杯の言葉。


「Aーーーーー!!!」

三階の教室から、君の名前を叫ぶ。
校庭の視線が一気に集まる。
緊張から、言葉が喉に詰まる。

それでも、伝えないと…!


「好きだ!!!」

真っ白な肌に、真っ赤な頬を持つ彼女と、目が合った。
君は、とてもビックリした顔をしてから、

コクリ、と頷いた。


「ま、じで?」

「お前、告白してんじゃねぇかよ」

「告白成功?ヒューヒュー」

はやし立てる三人に"うるせえ!"と言い放って、
それから、俺の足は勝手に、君に向かっていた。

次にいう言葉は決まってる。







『夏祭り、俺と一緒に行こう!!』

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