【YouTuber】貴方の好きなところ【短編集】

ねっちゅうしょう《エイジ》 ページ41

「アイス買ってきたけど、食う?」

荷物を下ろす彼が、アイスが入っているのであろう袋を顔の横まで持ち上げて私に尋ねる。

「…いい」

「あっそ」

素っ気ない返事とともに台所に消えていく彼。
冷凍庫にアイスを入れに行ったのだろう。
暫くして戻ってきた赤髪。

「熱、結構あんな」

「うん…」

私のほっぺに手を当ててそういう彼。
熱を帯びた頬に、冷たい彼の手が気持ちいい。

「なんで夏なのに風邪引くんだよ、ばーか」

「うっさい、夏風邪だばーか」

熱に侵されて、頭がクラクラする。
脳みそが溶けちゃいそう。

「エイジ」

「なに」

液晶画面をいじり始めた彼の名前を呼ぶと、単調な返事。

「ありがとう」

彼は大層ビックリした顔をして、"熱で脳みそやられたか?"だって。

(たまには感謝の気持ちでも言ってやろうと思ったのに、損した)


「なんか、」
「弱ってる姿って、そそられるな」

グッと顔を近づけた彼が、イヤラシイ目でそんなことを言う。
いつもよりも熱っぽい吐息が混ざる。

「えっち。うつすよ」

「うつせば?その代わり、お前看病しろよな」

全く顔を離す気配のない彼。
心做しか、その距離は逆に近くなっている気がする。

頭がクラクラする。
ねぇ、これは熱のせい?


「いいよ」



唇に彼の熱。


熱い、溶けちゃいそう。


(うつっちゃえ)

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風邪をひきました…
皆様も体調にはお気を付けて。
夏風邪はしぶといので。

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