嫌よ嫌よも好きのうち《シルク》 ページ5
「先輩!!」
体育館から出てくる見覚えのある後ろ姿に、思わず声をかけた。
その人はゆっくり振り返って、
それから、
「おー、A」
(今、名前呼んだ…!)
小走りで先輩の元へ向かう。
「今帰りですか?」
「おう」
手にはシューズが入っているのであろう、袋がぶら下がっていた。
「練習熱心ですね」
「まぁな」
バスケ部のエース、シルク先輩。
先輩とは、体育祭の実行委員で知り合って、
それから、いつの間にか目で追うようになっていた。
私とあんまり身長変わらないし、別に顔だってタイプじゃない。
そんな、理想とはかけ離れた先輩なんか、なんで好きになったんだろう。
自問自答してみたものの、当然答えは返ってこなくて、"恋愛ってよく分かんないな"なんて。
「お前、帰んの?」
「はい!」
「んじゃ、送るよ」
(まだ明るいし、家近いからいいのに…)
さり気なく女の子扱いしてくれるところとかは、結構好きかも。
「ありがとうございます!」
先輩の隣に並んで歩く帰り道。
いつもつまらない帰り道が、今日はものすごく幸せに感じた。
「先輩って、彼女とかいるんですか?」
不意に問いかけた質問に、先輩は"は?"と短い単語を漏らした。
聞くところによると、先輩は意外とモテるらしい。
バスケ部のエースなわけだし、それも分からなくはない。
でも、もし先輩に彼女がいたら…
(それは嫌だな)
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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時