present for you《そらちぃ》 ページ21
今日は、5月12日。
普通の人なら、ただの平日だけれど、私にとっては特別な日。
「そら、お誕生日おめでとう!!!」
クラッカーを引くと、パンッと弾けて紙吹雪がひらりと彼の髪に落ちた。
机に並ぶ料理達を前に、目を輝かせる貴方。
大したことは出来ないので、攻めても、と思い、彼の好きなものを作ってみた。
ケーキも初挑戦。
(彼の口に合うかわからないけど…)
「食べていい??」
子犬のような目をして、自分の前の切り分けられたケーキを見る。
「どーぞ」
ドキドキしながら、手作りケーキを頬張る彼の反応を伺う。
フォークが口から話された瞬間、彼の顔は満面の笑に変わり、
「めっちゃうまい!!!」
大袈裟すぎる反応もまた、私を笑顔にさせる。
「それは良かった」
「Aがお嫁さんだったら毎日こんなうまい飯が食えるね」
「あはっ、何言ってるの」
冗談交じりの彼の言葉に、笑って返せば、彼は急に真剣な顔に変わり、こちらに体を向ける。
「本気で、俺のお嫁さんになる気ない?」
頭が理解に追いつかづ、目をぱちくりさせながら彼を見ていると、
彼の掌に、小さな箱。
「夜景が綺麗なレストランでも、夕日が綺麗な海でもないし、全然カッコつけたことも出来ないけど、言わせて?」
「Aを俺にくれませんか?」
彼の口から放たれたその言葉は、真っ直ぐ私の胸に入ってきて、目から大粒の涙を零す。
今日はあなたの誕生日なのに、
「逆だよ…」
次々と零れ落ちる雫が、頬を濡らしてゆく。
「Aが俺の側にいてさえくれば、何もいらないよ」
「受け取ってくれますか?」
そんなの、聞かれなくても答えは同じ。
「はいっ…」
スルリと私の薬指に通されたそれは、揺らぐ視界の中でキラリと輝いてとても綺麗だった。
特別な日に貰った、大切な貴方からの贈り物。
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お誕生日おめでとう!!!
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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時