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、
「森本、悪いけど
彼女は俺が送ってくから」
まだ、飲んでいる途中なんだけど
なんて言葉がお腹の奥底に閉じ込められたのは
一万円札をポンと机の上において
私の手を繋ぎ少し前を歩く彼の背中が
ほんのちょっと、愛しく思えたから。
考えてみればおかしい話だよね。
後輩と飲んでいる途中で告白されたと思いきや
急に彼氏でない同僚が現れて
私を連れて帰るってさ。
…ああ、そうか、そういえば
私告白されたのか。
「なあ、今誰のこと考えてんの」
店を出て、隣に肩を並べた彼と私の手は
繋がれたまま、振り解くタイミングを見失っている。
「もしかして、森本と社内恋愛しようとか思ってた？」
2人のマンションの前で立ち止まり
こちらを見た彼は、どこか悲しげな顔で
『そんなわけないじゃん』
そんな彼の顔を見ながら私は
懸命に否定していた。
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作者名：Runaaaaa
| 作成日時：2021年5月29日 23時
