【立海】フラれたんで髪切った

切原くん ページ9

いつもよりはやく目が覚めた
　

今日は日直だからだろうか
数学の授業で問題の解答を求められる順番がまわってくる日だからだろうか





実際、ソワソワして眠れなかったのだ



数学、嫌いなんだよな
答え間違えたら恥ずかしい
まぁ、チラッと横の秀才君のノートみればいっか



『あー、お母さん。もう家出るわ』



いつもの出発時間より39分もはやい
まぁ、たまにはいいだろう



いってきます。と叫んで
自転車の鍵を解除して
私は自転車にまたがりペダルを踏んだ





…
　




『〜〜〜〜♪ ぬ〜すんだバイクで走り出すぅ〜』



自分にだけ聞こえる声で歌う
天気がとても良い
なにより
いつもこの通学路は人が多いから
進まないけど
　

今日は違う
人が少ないから颯爽と通れる





でも、こんな朝はやくても登校してる人はいるんだな

しかも、あの前にいる人
余裕で間に合うのに必死に走ってる







哀れだ






必死に走る人の横をさっと横切る私
少し離れたところで後ろを振り向く







『…え』






私は何かしたのだろうか





必死で走ってた人が私に向かってる気がする





逃げよう
ペダルをおもいっきり漕いだ



「ちょっ！そこの自転車乗ってる人！止まってくだせえっス！」
　



…自転車乗ってる人は私しかいない




逃げるのもなんだと思って止まった





「ぜぇ、ぜぇ…はぁ…やっぱりあんたっすか」



『あ…丸井くんといた』



あの焼きそばパン事件で私とぶつかった
‘赤也くん’だ


「お願いがあるっす」




『はぁ』




「学校まで自転車で送ってほしいっス」




『…えぇやだよ』


それに送るってことは2人乗りをするってことだ
2人乗りって道路交通法違反じゃん？
自転車貸してもいいけど、歩くのはだるい
めんどくさい



「お願いっス！なんでもするから！」



『…へぇ』




私はニヤリと心の中で笑った

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