09 罪悪感 ページ10
蘭さん達には、もし私たちが帰ってくる前にピザが届いたら食べてて良いとだけ伝えて、家を後にした。
今夜はそもそも、あの家に帰るつもりなんて更々無いのだけれど。
私の横に並んで歩く彼は私がスーパーを横切ったことに対して、すぐさまツッコんでくる。
「おい、通り過ぎてる。」
「……いいの。」
私の目的地に着くまでは何も言う気はなくて。ただ、彼を信じて黙って着いてきて貰うだけ。
怪訝そうにしながらも私の考えを尊重しようとしてくれているのか何も聞いてこない。
それを良い事に勝手な行動ばかりしているから、私も大概な女だと思う。
駅に着いて、電車に乗ろうとすると流石に困惑した彼はやっと口を開いた。
「何処まで行くつもりだ?」
「今は着いてきて欲しい。」
何も説明しない私に対して不服そうではあるが、言葉を呑み込んで着いてきてくれる。
目的地の最寄り駅で降り、そのまま再びスタスタと歩いていく。
会話のない時間が気まずいとは思わないけど、言葉を交わさないのは少しだけ寂しさを感じた。
まるで喧嘩してるようで。
全然、喧嘩なんてしていないし、私が一方的に彼を振り回しているから、こうなっているのだけど。
「おい、此処……。」
目的地に辿り着いた私は、エレベーターのボタンを押した。春くんが以前用意してくれたマンションに来たかったのだ。
蘭さんがしつこくあの家に来るならば、私たちが移動すれば良いだけの話。
マンションの鍵を鞄から取り出して鍵穴指し、捻ると鍵の開く音。最近、ココには来ていなかったからか、どこか埃っぽくなっているような気がした。
「春くん、何も言わずにここまで連れてきちゃってごめんね。」
この数日間で、春くんに何度「ごめんね」の言葉を言ったのだろう。
本当は「ごめんね」ではなく、「ありがとう」と言えたら良かったんだけど。
身勝手な行動で彼を振り回した罪悪感は異常な程に大きくて、お礼よりも先に謝罪の言葉が前に出てきてしまう。
「A、ごめんな。」
「え?」
「元はと言えば、俺があの家に近づけちまったのが悪いだろ。」
そんな事ない。春くんはちっとも悪くない。首を横に振り、彼にぎゅっと抱きついた。
春くんは、乱暴だし、すぐ怒るし、自分勝手なトコあるし、何より反社だし。
だけど、本当は……優しくて、思いやりがあって、私なんかを好きでいてくれる。
そんな彼を責める理由なんてこれっぽっちも見当たらなかった。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時