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43 迷い ページ44

「良くねえだろ。」

「本当に、良いから。」

手をギュッと握ると、優しく握られた手。その温かさに安堵し、少しだけ落ち着いた。

元々、両親とは絶縁に近い状態だったのだからどうなったって良い。改めて言葉で証明されただけだ。

一緒に帰宅し、疲れきった身体をソファに横たわらせて2人でゴロゴロとしていた。

春くんは先程から何も言わず、ただ手を握りしめていた。安堵するように身を委ねている私は春くんが何を考えているのか分からない。時折、ぎゅっと強く握り締める。

「本当に、ごめんね。」

沈黙に耐えられなくなった訳では無いが、無意識に静寂を破ろうとした私の口から零れた言葉。

「……何が。」

「両親の事も、妊娠した事も、全部。」

繋がれていた手が緩く解かれていけば、今度は身体ごと包まれていた。

「そんな事言うんじゃねえよ。俺は、Aと腹ン中にいる子供、どっちも守る覚悟がとっくに出来てんだよ。」

強い春くんの声に、涙が零れてしまう。本当に妊娠してから情緒が不安定で自分の感情の落差にも疲れてしまう。

それ以前に、春くんの温もりが私を包んでくれるからそれが何よりも嬉しかった。

「ありがと。私も頑張って、この子産むから。」

「それまで出来ねえのは軽い拷問だけどな。」

色気を孕む声色で言うものだから、私も思わずポロッと余計な事を言ってしまう。

「ちゃんと避妊すれば……良いんだって。」

「マジ?」

「……マジ。」

「でも辞めとく。……今はAの身体の方が大事。」

彼の理性が私を救い、私を苦しめる。ちょっとは、触れて欲しいと思う気持ちを汲み取ってくれたって良いのに。

でも、そうだね。春くんの言う通りだ。今は、私だけの身体では無い。この子の身体でもあるのだから、大事にするべきなのだろう。

「じゃあ、いっぱいギュッてして。沢山キスして。」

このくらいの我儘は聞き入れて、受け止めて欲しい。それも、春くんなら容易く受け入れてくれるだろうけど。

「そんなの、言われなくてもするに決まってんだろ。」

力強く抱きしめてくれると、長い睫毛を揺らして熱が篭っているような瞳で私を見つける。

口付けを交わせば、「愛してる」だなんて欲しい言葉をくれる。

もう、迷いはない。この子は産むし、親とも絶縁をする。

元々、彼と一緒になると決めた時点でこうなる道を選ばざるを得なかったのだから。

44 確信→←42 絶縁



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設定タグ:東京リベンジャーズ , 三途春千夜 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時

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