42 絶縁 ページ43
「貴方、カタギの女に……Aをどうやって唆したの?」
「ちょっと!」
彼の性格なんて見ようともしない両親に腹が立つ。確かに、私たちの出会いを話してしまえば、絶対に「そんな男はやめておけ」とどの家庭でも言われるかもしれない。
でも、もう私は……覚悟を決めて此処に居る。だから、春くんを。私の好きになった人を拒絶するような言い方はしないで欲しい。
地位や名誉があるからって、偉い訳じゃない。少なくとも、私は彼の地位や名誉なんてどうでも良かったし、それは春くんだって同じはずだ。
好きになってしまった人が、たまたま反社だっただけ。ただ、それだけで……此処まで言われる筋合いはない。
私の隣でどんな罵声を浴びせられていても、堪えてくれている彼の姿に、胸が痛くなる。
「……後出しになってしまって、申し訳ないのですが。Aさんのお腹の中には、新しい命がいます。」
春くんがそう言うと、母は私に視線を向けるなり、立ち上がって思い切り平手打ちをした。刹那、静まり返った空間の中に乾いた音が1つ響いて、再び空間には静寂が戻る。怒りに身を任せて打ち付けて来た掌が思っていた以上の衝撃を私の頬に与えた。
ジリジリと痛む頬を手で押さえていると、私の横で春くんが立ちあがった。
「殴るなら、気が済むまで俺を殴ってください。責任は全部俺にあります。」
今度は春くんの方へ向き、手を振り上げたその時に、初めて両親に対して、心の底から怒りが生み出される。途端、無意識に怒鳴りつけていた。
「止めてっ!もう、いいよ。2人が納得してくれないなら、私はもう絶縁する。帰ろう、春くん。」
呼び止める彼を無視して、家から飛び出した。春くんは両親に頭だけ下げて、私の後を追いかけるように家を出てきたのだった。
「おい、絶縁なんて……」
「いいの。ごめんね、嫌な思いをさせちゃった。」
両親を見て、ずっと私は2人のようになるのだろうと、信じて来た。勉強だって頑張ったし、期待に応えられるように努力も惜しまなかった。
大学を卒業して、今の会社に就職した事を報告すると、「弁護士になれないなら大学行かない方がマシだった」と言い捨てられ、私は社会人としてけじめをつける、と理由付けて家を出て来た。
それもあって、春くんと此処に来るのは正直、気が進まないのもあったのだった。私の生き方を否定しても、別に良い。だけど、春くんの事を否定するのは、許さない。
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さきな(プロフ) - 漆Pさん» 長らくお待たせさせてしまい申し訳ありませんでした!(土下座)こちらの小説でもコメント頂けて嬉しいです✨あと少しで完結なので頑張ります♡ありがとうございます! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
漆P(プロフ) - 更新再開おめでとうございます(*´ω`*)ずっと待ってたかいがありました!無理せずに更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月24日 13時) (レス) @page47 id: 436ede0cdd (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - モックさん» コメントありがとうございます✨続き更新致しました!ぜひ読んで下さい!完結までもう少しのところまで来ておりますので、頑張ります!ありがとうございます! (2022年9月24日 11時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
モック - めちゃくちゃいいところでとまってる〜!! 続きちょ〜楽しみ☆ 春くんがイケメンすぎてにやにやがとまりませんwww 更新頑張ってください!応援してます♪ (2022年9月24日 10時) (レス) @page46 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - ちょんちょんさん» コメントありがとうございます✨更新していきますので、最後まで読んでくださったら幸いです! (2022年9月24日 0時) (レス) id: 1d6ef99bbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2022年2月20日 0時