第4話 ページ6
自分で書くなどという発想を、
それまで持った事もなかった。
「小説を書くことは、人間を書くことだ」
と髭の男は云った。
「人間はどう生きて、どう死ぬべきか
という事をな。儂の見たところ、お前には
その資格がある。」
私は答えなかった。私にその資格があるとは
思えなかった。その日も私は仕事で
人を殺した後だったのだ。
だがその男の言葉には奇妙な説得力があった。
男の目には何光年も先から届いたような
澄んだ光があり、その声には大地そのものが
震えて発せられているような確かさがあった。
そんな人間を私はこれまで見たことがなかった。
私は名前を尋ねた。
髭の男は自分の名前を云った。
その本の作者と同じ名前だった。
何日か後、私が同じ時間にその喫茶店へ行くと、
私がいつも座っている席に、
本が一冊置いてあった。
本の表紙には紙片が貼り付けられていた。
その紙片には「後悔しても知らんぞ」
と書かれていた。下巻だった。
私はその日1日かけて、その本を読んだ。
その本は――
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時