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第32話 ページ39

恐らく俳優は激怒する



そう思っていた福沢。



然し福沢の予想に反し



「そうか、ガキ。お前がつまんねえと
思うなら、そうなんだろう」



村上青年は、神妙な顔つきで答えた。



「演劇がつまんねえかどうかを
判断するのは観たやつだ。お前の首絞めて
『面白いから全部読め』と脅すのは
簡単だが、それは脅し屋の仕事であって
俳優の仕事じゃないからな。なあ、ガキ
お前は劇に何があったら面白いと思う?」



「何それ? うーん」



村上青年にそう問われた乱歩は



首を捻って暫く考えてから答えた。



「劇のど真ん中で予告通り役者が
殺されたら面白い」



福沢は背筋に震えが走った



「は! ガキっぽい答えだ」



だが村上青年はにやっと笑った。



「観客がそう思ってるなら、脅迫通り
殺されてやるもの悪くないかもな」



「おい」



福沢は眉をひそめて声を掛ける。



不謹慎だと思ったのだ。が、



「勿論殺される気なんてありませんよ」



村上青年は福沢に向かって云った。



「だが、娯楽業(エンターテインメント)の世界に身を置く人間なら
考えることだ『演劇を極めるためなら
他人の命を奪えるか』......俺なら奪うね
迷いなく。俺が人を殺さないのは人の命を
対価に芝居の極意を教えてやろう、と
持ち掛けてくる取引相手に
逢ったことがないからだ。今のところはね
だからもし、今回の殺人予告を仕掛(しか)けた奴が
観客を驚かせようとして事を計画してたなら
いい根性(こんじょう)だと思いますね」



村上青年は福沢を見ていなかった。



乱歩も見ていなかった。



勿論私のことも見ていなかった。



強いて云うなればただ自分を



自分が影響を与えることのできる



観客のことだけを見、



考えているように見えた。



却説(さて)、そろそろ客入りだ」



村上青年は立ち上がった。



「俺は行きますよ。まあ、おれも
プロならそちらもプロでしょう。
誰の被害もなく依頼人を警護し
無傷で帰すのがプロの仕事だ。
期待してますよ」



福沢は「承った」そう一言だけ云った。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 成り代わり   
作品ジャンル:アニメ
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時

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