検索窓
今日:22 hit、昨日:6 hit、合計:62,348 hit

第23話 ページ28

「では、今日はご苦労だった。織田行くぞ」



福沢はそう云って席を立った。



私も、福沢に続き席を立った。



「市警には今回の功績はお前にあると
報告しておく。表彰の推薦もしよう。
巧くすれば市警の手代の潜り込めるかも
知れんな。....両親を失い辛いと思うが
お前なら必ずしや大成しうる場所を
見つけられる。ではな」



支払書を取って立ち去ろうとする



福沢の手を、乱歩が不意に掴んだ。



「――何だ?」



福沢は乱歩を見る。乱歩は凝然(じつ)



福沢を見返している。



「......それだけ?」



「何?」



「それだけ?」



乱歩繰り返した。



「おじさん、もっとこう......あるでしょ?
物理的なあれが。両親をなくして、
仕事もなくして、行くところもなくて
トホーに暮れている十四の少年を前に
何かこう、胸からこみあげてくるものが
あるでしょ?」



福沢は乱歩を見た。それから喫茶処の



机を見た。並べられた九杯の椀を見た。



「確かに何かがこみ上げてくる」



福沢は云った。



「よく餡ばかり九杯も食べ続けられたな」



「まあ、この程度はね」



乱歩は自慢げに云った。



自慢することではないだろうと思いつつ



私は云った。



「乱歩、なら私と一緒に来るか?」



私の一言に二人は驚いた様子で



目を見開き固まった。



「此処で、あったのも何かの縁。
お前の職が見つかるまで縁――」



「否......いい。大丈夫僕
このおじさんに助けてもらうから。
女の子に助けてもらうのは流石に
気が引けるしね」




「そうか」



福沢は、溜息つきながら襟元から



白い名刺を取り出した。



「何これ?」



乱歩は机上の名刺と福沢の顔を



交互に見比べる。



「俺の連絡先だ。命を脅かされる人間の
頼みを何度か聞くうち、用心棒のような
ものを営む身になった。身の危険があれば
連絡しろ。一度くらいは無料で護衛してやる」



乱歩は神妙な顔をして名刺を受け取った。

第24話→←第22話


ラッキーアイテム

麦わら帽子


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
91人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 成り代わり   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。