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「……ここに住むんですか!?」
「せやで？」
当たり前だと言いたげにトントンは目を丸くする。Aはわなわなと唇を震わせた。
「誰も、納得しないですよ」
「どういうことや」
「組長さんが、私を見てダメだって言うなら、他の方も納得しないに決まってます」
「知らんがな。俺は、Aが好きや。俺はもうすぐ組長になる。俺の意向に反する奴は、組から追い出せばええ」
「私にも、仕事があるので。今、大事な時期で、絶対外せないんです」
「俺が養ったるって。見ればわかると思うけど、我々組は儲かってんねん」
その資金源はあえて聞かない。トントンに連れられた部屋は、かなり広く、A1人では勿体無い程の大きさだ。典型的な和室に、家具がちょこちょこ置かれている。奥の方には襖がある。
「あの襖は、俺の部屋と繋がっとるから、寂しくなったらいつでもおいで」
「え、あの」
「ん？」
「私、仕事が」
「ええやん。俺を信じて。大丈夫、Aがホンマに好きやって言ってくれるまでは、挙式上げへんから。あ、腹減った？ちょっと待っててな、飯取ってくるから」
バタバタと忙しなくトントンは部屋を出て行った。部屋に取り残されたAは、小さな歩幅で壁側にあるもう1つの襖を開けた。そこには、小規模の池とししおどし、それに手入れされた庭があった。蝶々が飛んでいて、絵になっている。
「その庭は、今は亡き奥方が手入れされてた庭やで」
背後から声が聞こえて、慌てて振り返ると、そこにはオスマンとシャオロンが居た。
「あっ、どうも」
急いで正座に直すと、笑いながら崩して平気やで、と言ってくれた。言葉に甘えて足を崩して、2人を見上げる。円卓に手をついて腰を下ろした2人は、困ったように頬を掻いた。
「Aさん。アンタ、時期組長の嫁になるんやから、一人の時間はあったらアカン。いつ、他の組に狙われるか分からへんし。組の中にもスパイがおるかもしれん。っちゅう訳で、トントンが居らん時には、俺ら幹部のうち2人が護衛につく。遠くで見とるだけやから、安心せえ」
「……もし、私が居なくなったら、トントンさんはどうなりますか？」
「知らんけど、叔父貴が無理やり女選んでくるんちゃう？」
「そう、ですか」
良い事を聞いた。我々組を敵に回すつもりは無いが、リストラは御免だ。トントンが戻ってくると、2人は部屋を出て行った。本当に、トントンが居ない時だけらしい。
「トントンさん。トイレ行ってきてもいいですか？」
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カルーア - すっごい情緒たっぷりなお話を！最高過ぎる…ありがとう！ (5月14日 9時) (
レス) @page50 id: a803a79d39 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
