76 ページ27
参謀室を出たAは、自室に戻った。部屋に散らかったままの資料を拾い、元あった場所に戻す。トントンが調べてくれた成分表も、今後使う可能性があるので、毒についてまとめてある資料の場所に挟んでおいた。
すると、棚の上から1枚の資料が落ちてきた。数年前、新たに発見された花についての資料だった。懐かしいものを見つけたな。とどこか遠い目でAは落ちてきた資料を戻した。
昔、まだAがF国に居た頃の話。参謀として働いていたと同時に、奴 隷のような扱いを受けていた。どうにかしてF国を滅ぼすため、色々計画を練っている最中に見つけたのが、その花だった。見たことの無い花だったので、上に提出すると、新種の花だと発覚した。
しかし、Aの存在を隠したかったF国は、それをF国の幹部の手柄とした。
特にAは気にしていないが。
懐かしい思いに浸っていると、窓の方から音がした。音のした方へ目を向けると、1匹の猫が窓枠に座って震えていた。急いで駆け寄り、窓を開けると、猫は室内に入って、図々しくベッドの上を陣取った。
(生意気な猫……)
しかし、どこか愛くるしさを感じたAは、猫に手を伸ばした。すると、猫はAの手に擦り寄って、ニャー、とか細く鳴いた。
猫がベッドから動くと、ベッドシーツに血が着いた。どこか怪我しているのかと、猫をひっくり返すと、足から出血していた。
持ち前の知識で止血し、綺麗に手当すると、猫は嬉しそうにまたニャーと鳴いた。その姿に心奪われたAは、猫を抱えて総統室に向かった。
「総統閣下!!!」
「うお、びっくりした。……ん、猫!?」
「はい。猫です。許可下さい」
「……お前にも、愛玩動物を欲する心があったんだな」
「はい、いいですか?」
「勿論だ。……あと、総統閣下とかいう堅苦しい言い方やめないか?」
「では、なんと呼べと?」
「グルッペンとか、グルさんとか、グルッペンさんとか……色々あるだろ」
グルッペンの言葉に、Aは小さく、グル、さんと言った。目を開いて固まったグルッペン。
「そっちを選ぶか」
「その方が、短くていいじゃないですか」
「ああ、そういう事か。……ふっ、じゃあな」
「はい。ありがとうございます。グルさん」
そう言って部屋を出てったAの後ろ姿を見て、グルッペンはククッと笑った。
「中々の破壊力だな」
1178人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼 - ページ40の話の上から11行目(文字が開いて行数で書かせていただいております)zm様の言葉が、「分かった!!行ってくる!! という表記になっております。細かくて申し訳ないです。ごめんなさい。 (8月24日 3時) (レス) @page40 id: 7197a413b4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - え……え????いや、これは訳ありパターン…続編も楽しみにしてます! (2021年3月30日 17時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
BAND(プロフ) - え、夜ダメとか可愛いかよ((( (2021年3月30日 14時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - コメント失礼します!64がなにもない状態で公開されちゃってます!あれ?私が見えてないだけでしょうか…間違いでしたらごめんなさい。 (2021年3月27日 17時) (レス) id: 0c3a2b2511 (このIDを非表示/違反報告)
小茶丸 - 続編おめでとうございます!続きが楽しみだぁ! (2021年3月23日 23時) (レス) id: dd1575ae33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月22日 18時