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「スワンな、ありがとう」
通信を切ったトントンは、手持ちのタブレットを開いた。タブレットに何かを打ち込んだ後、大きく目を開いた。
「どうしました?」
「スワンなんて奴……この軍に居らん」
トントンがそう言った瞬間、部屋の空気が凍った。Aは、引き攣った笑みで、何、言ってるんですか……?と資料を握りしめる。
「幽霊……は非現実的ですよね。じゃあ、スパイ……!?」
ハッとして、2人は部屋を飛び出した。バタバタと廊下を走って、ロボロの仕事部屋を訪れた。相変わらず薄暗く、モニタの光が部屋を照らしている。
「ロボロ、防犯カメラの映像見せてくれ」
「あいよ」
カチャカチャと、タイピング音を鳴らし、ロボロはトントンを見た。
「今日の分のデータ、お前のタブレットに送信しといたわ。……なんかあったん?」
「グルッペン暗殺未遂事件。その捜査中や」
「グルッペンを!?」
「ああ。じゃあな、ありがとう」
ロボロの部屋を出た2人は、近くの談話室に入った。トントンはタブレットを開いて、ロボロから送られたデータを再生した。早送りで見ると、1人、足早に基地をでる男の姿があった。
「コイツか」
「逃げられた後か……!!!ロボロさんに、街中のカメラの映像も送って貰いましょう」
「いや、多分やけど、もうジェットかなんか使われて、自国に帰っとると思うで」
「確かに……。チッ、ここまで情報がはっきりしているのに」
Aの舌打ちに、トントンは目を丸くした。
「A、今回は諦めるしか無さそうやで」
「そうですね。……ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました」
悔しそうに拳を握ったAは、そう言うと、談話室を出た。自室に戻る途中、参謀室に寄ると、エーミールが読書をしていた。
「教授。読書なら部屋ですればいいじゃないですか」
「あ、Aちゃん。ほら、俺の部屋光入らんやん。せやから、お日様の光が入るこの部屋で読むのが1番心地ええんよな」
「そうですか、邪魔してすみません。では」
部屋を出ようとしたAを、エーミールは慌てて呼び止めた。クルリと振り返ったAの顔を見て、エーミールは心配そうに眉を下げた。
「なんかあった?」
「いえ、ただ……私にも解決できない事があるんだなって」
「そんな事か。そんなん俺にだってあるし、何でもかんでも解決出来たら、世の中平和やって!!」
「あと、捕まえるだけだったんです。もう少し早く気づいていれば」
「そういうこともあるよ」
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蒼 - ページ40の話の上から11行目(文字が開いて行数で書かせていただいております)zm様の言葉が、「分かった!!行ってくる!! という表記になっております。細かくて申し訳ないです。ごめんなさい。 (8月24日 3時) (レス) @page40 id: 7197a413b4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - え……え????いや、これは訳ありパターン…続編も楽しみにしてます! (2021年3月30日 17時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
BAND(プロフ) - え、夜ダメとか可愛いかよ((( (2021年3月30日 14時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - コメント失礼します!64がなにもない状態で公開されちゃってます!あれ?私が見えてないだけでしょうか…間違いでしたらごめんなさい。 (2021年3月27日 17時) (レス) id: 0c3a2b2511 (このIDを非表示/違反報告)
小茶丸 - 続編おめでとうございます!続きが楽しみだぁ! (2021年3月23日 23時) (レス) id: dd1575ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月22日 18時