52 ページ3
参謀であるイディオが居なくなった瞬間、Aは手で縄の結び目を触った。
「馬鹿ですねぇ」
大体の結ばれ方が分かったAは、手先を器用に扱い、縄を解いた。拷問室に閉じ込められていたため、縄を抜ければ武器は簡単に手に入る。Aは1番攻撃力が高く、軽そうなペンチを手に取ると、通気口から拷問室を脱した。
ほふく前進で通気口を進んでいると、前の方から物音がした。Aはペンチを構え、真っ直ぐ前を見据えた。
「……誰や!?」
前に居た人物は、Aに気づき体制を整えるが、互いの顔を見た瞬間、双方安心して息を吐いた。
「ゾムさん」
「A……!!!」
ゾムは、Aを見つけると、すぐに通気口を後戻りした。ようやく外に出ると、ゾムはAの手を引いて、皆の元へ戻った。
「A……!!良かった、無事やったんやな」
「ええ。……どうして、助けに来て下さったのですか?」
Aの質問に、皆は声を揃えて言った。
「仲間やから」
その瞬間、Aの中で何かが弾けた。今まで、あの事があってからエーミール以外の人間は信じないようにして来た。だが、今になって少し、彼らを信じてもいいかな。という気持ちが芽生えた。
「A、帰ろうや。グルッペンがずっっっっと待っとる」
コネシマの言葉に、Aは首を傾げる。
「まぁ、ええから。先帰ってて。俺らこの国消さなアカンから」
「えっ!?」
「エミさんとグルッペンに言われててん」
皆は、Aを飛行船に乗せ、ひと足早く我々国に帰した。
数時間かけ、我々国に戻ってきたAは、門の前で待っていたエーミールに抱き締められた。
「……Q国行ったって聞いたから、ホンマに……心配したんよ」
「武力を持たずに1国を潰した女ですよ?あんな小国を出るなんて容易い事です。……それより、何か用ですか。グルッペン総統」
Aは、エーミールの後ろに立っていたグルッペンに目を移した。
「A。話があるんだが」
「なんでしょう」
ここではアレだから、とAを総統室に連れて行き、エーミールに部屋を出て行ってもらった。
「話とは?」
「俺は、Aに謝らなくてはならない事がいくつかある」
「……はい」
1178人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼 - ページ40の話の上から11行目(文字が開いて行数で書かせていただいております)zm様の言葉が、「分かった!!行ってくる!! という表記になっております。細かくて申し訳ないです。ごめんなさい。 (8月24日 3時) (レス) @page40 id: 7197a413b4 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - え……え????いや、これは訳ありパターン…続編も楽しみにしてます! (2021年3月30日 17時) (レス) id: 503fd2a4ac (このIDを非表示/違反報告)
BAND(プロフ) - え、夜ダメとか可愛いかよ((( (2021年3月30日 14時) (レス) id: 89d985a64d (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - コメント失礼します!64がなにもない状態で公開されちゃってます!あれ?私が見えてないだけでしょうか…間違いでしたらごめんなさい。 (2021年3月27日 17時) (レス) id: 0c3a2b2511 (このIDを非表示/違反報告)
小茶丸 - 続編おめでとうございます!続きが楽しみだぁ! (2021年3月23日 23時) (レス) id: dd1575ae33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月22日 18時