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棚に、そっとダンボールを置いて、
「あと、もう少しあるんで、持ってきますね。」っと営業スマイルを添えて声の相手を見れば、
そこには、よく知った、それでいて、何も知らなかったあなたがいた。





「・・・照?」


俺を呼ぶ声。

懐かしい呼び方。



そんな風に呼ばれていたこともあったな、
なんて、現実のこととは思えなくて、
昔の映画を見ているような気分になっていた。



あの頃と違って、メガネをかけたその人は
ひどく驚いた顔をしていて、

あの頃と同じ、人よりも白いその肌は、
白衣を着ているせいだろうか。
白を通り越して体調が悪いかのように少し青くみえた。




そりゃそうか。

自分の若い時の汚点が今、
突然目の前にいるのだ。


驚くのもわかる。

俺が、復讐にでもきたと思ったのかな。


いや、、、違うか。

ただ単純に、あの頃とは随分と変わってしまった俺に驚いているのかもしれない。
もう、あなたが手に入れたかったあの頃の俺とは違う。



背中を伝う汗が、熱いっていうよりも冷えて感じていた。









「お久しぶりです。」

顔の汗を、首に巻いてたタオルで拭きながらなんてことないように言った。
俺の動揺を悟られてはならない。なんだかそんな気がして。

なるべく、普通に。ただの昔の知り合いを装って。





「お、、、どろいた、、、。照、随分変わったな。」



“あなたはあまり変わってないですね。”
口に出そうとしてやめた。


この会話になんの意味があるのだろう。
所詮、昔のことだ。




「残りの荷物、取ってきます。」


数十秒のそのやりとり。
それが永遠と思うほど長く感じた。









階段を下りる途中にある落書き。

流し場の欠けた石のタイル。

あの人のうわずった俺を呼ぶ声。

誰かの走る足音。

至る所で練習する、吹奏楽部の何かの音色。





その全部があの頃と同じで、
時が動いているのは俺だけなのかもしれない錯覚に陥った。



時計の針を過去に戻すのはやめよう。
早くこの残りの荷物を届けてこの場を立ち去ろう。



そう決めたのに、二度目の上りの階段は、
一度目よりも荷物は少ないはずなのに足枷をつけられているみたいに重かった。




*→←悪い大人2(fk×iw)



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(プロフ) - ありがとうございます。楽しみにしてます。ゆり組もいいですよね!地雷は無いのでどの話も大好きです。それと、申し訳ないのですがR-snowのパスワード教えていただけないでしょうか。読んでみたいのですが、中々解けなくて。教えてくださると嬉しいです。お願いします。 (2020年3月5日 12時) (レス) id: e1dc0757dd (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ☆さん» お褒めの言葉、ありがとうございます^_^ ゆり組贔屓気味ではありますが、dtskも大好きなのでそう言ってもらえて嬉しいです。ノロノロ更新ですが、おひまなときにでもまた読みにいらしてください(*゚▽゚*) (2020年3月4日 22時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - ルリさん» iwさん受けは最高です!!本当、いいですよね!!私もmmiw大好きです(*^ω^*)高身長同士の並び、素敵!! (2020年3月4日 22時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
ひびた。(プロフ) - みわみるさん» 確かに、日本語の意味がよくわからないことになってますね。ご指摘いただくまで気づきませんでした(^^;;一文字目というのは頭文字ということが言いたかったのです。わかりにくく書いてしまい、大変失礼いたしましたm(_ _)m (2020年3月4日 22時) (レス) id: 5a12b48840 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - この作品が大好きです!特に、だてさくの作品が大好きです。これからも更新楽しみにしてます。 (2020年3月2日 19時) (レス) id: e1dc0757dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひびた。 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年11月27日 0時

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