snow snow snow 2（ × Snow Man ）

悪い大人２（fk×iw） ページ14

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※ふかいわです。いわふかに読めなくもないですが、
　ひびた。はふかいわと思って書いております。地雷に十分気をつけてお読みください。

snow snow snow の最後にある『悪い大人(fk×ru)』の時間軸前のお話。
これだけでも、短編として読めるお話となっております。ノンリアル。


-高校教師×配達のお兄さん-


-iw-


担当エリアの人がお休みで、
自分のエリアでもないのに仕方なしに配達に出向いた数年ぶりの母校。

まさかあなたにに会うなんて思ってもみなかった。




久しぶりに見上げた４階まで続く長い階段。

初老の守衛さんに重い荷物を運ばせるのに気が引けて、
自分から運ぶことを申し出たことを少し後悔した。


化学準備室までの道のりは卒業してずいぶん経つのに覚えていて
そして何も変わっていなかった。



部活動に励む生徒の声。

放課後の教室に残る初々しいカップル。

少し埃っぽい匂いと、乾いた空気。



この量、一回で運ぶのは無理だな。



エレベーターもない古びた校舎。
階段の前で、台車から持っていけそうなだけ腕にダンボールを重ねて抱えた。


夏休み前のこの時期。校内はいくらか空調がきいているとはいえ、
化学準備室のある４階までの道のりを階段で登りきる頃には首筋に汗が伝う。

高校生のときだったら、こんな荷物運べなかっただろうな。
なんて、昔のもやしみたいな自分を思い出していた。




華奢で、繊細で。

好きな人どころか自分さえも守れなかった弱い俺。




あの頃と違うことは、荷物を運ぶ太い腕が証明してくれているようで
ちょっとだけ誇らしかった。



目的地の化学準備室は4階の一番奥の部屋。
コンコンっと、行儀悪くも両手がふさがっているため足で戸を叩き、その足でそのまま戸を開けた。

「失礼しま〜す。」


自分の頭の高さまで積みあがったダンボールで遮られて、
発した声は思ったほど通らなかった。

加えて、前は見えない。

少しだけカニ歩きになりながら、室内に入ると、
懐かしいような懐かしくないような独特な薬品の匂いが鼻を掠めた。




「あ〜、ありがとうございます。そこの机の上に適当に置いといてください。」



少し遅れて聞こえた、間延びしたそのやる気のない声は、聞き覚えのあるもの。



でもその声は、何度も何度も思い出しては、心にしまい込み、
ずいぶんと擦り切れてしまっていて、
もう思い出せないようになっていた声でもあって。



俺の中で、同じものだと気づくのに時間を要した。


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