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さすがに体が冷えたのか、健人くんはようやくTシャツを着ると椅子に腰を下ろした
「Aは冷淡だし、あんまり感情を表に出さない子でしょ？
だからそんなAに大切な人ができた時……結婚式の時、花でいっぱいにしてあげたいんだっておばさんは言ったんだ」
それまでは何が何でも店を閉めるわけにはいかないと、経営が困難だった時に健人くんに話したそうだ
「結婚って…いつの話よ」
「俺はその想いを引き継ぎたい。きっとAは今、大切にしたいと思ってる相手が居るんだよね？」
ようやく本題に入った様子で、彼は腕組みをしてそう言った
なんだか、すごく偉い人に見えた
「気に入らねぇけど…そいつのことも俺は愛さないといけないみたいだな」
諦めたような彼がふっと一息ついた
決まっていた内定を蹴ってまで、危ない道を私のために選んでくれた健人くん
彼がここに来てから、何もかもが変わった
お店も繁栄したし、私は前より "家族" と話すようになったし、積極的に人と関わるようにもなった
そして今、私はあれほど嫌いだったあの店に立っている
それは、私の "家族" になってくれた人が居たから
健人くんという青い薔薇がくれた "奇跡"
「俺の元から巣立っていくんだよな、Aはいつか」
勝利にも、同じようなことを言われた
でも、2人が居たから
2人が居たから私は今ここに居られるんだ
「好きな人が……できました」
「うん」
「愛を、もらってばかりだったけど…与えたいと思えた人」
「うん」
健人くんや勝利からもらったものを、与えたいと思えた人でした
あの日、見知らぬ私を病院に連れて行ってくれて
5千円、払ってくれて
お店に来ても花なんか買わないで、私の心をからかって帰っていく人
目が離せなくなって
飲み込まれそうになって
息ができなくなってしまうんじゃないかと思うほど、会うと苦しくて
でも、もっと会いたいと思う人
「Aにも、愛が芽生えたんだね」
健人くんは私の頭を優しく撫でると、髪を乾かすために腰を上げた
彼の後ろ姿からは、母と父と同じ匂いがした
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えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです＾＾続編もよろしくお願いします！ (2019年4月24日 23時) (
レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです！一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えつ | 作成日時：2019年4月6日 22時
