5 ページ5
.
自転車置き場に私の自転車を止めると、勝利は帰り道と正反対の方向へ向かって歩き出す
店の2階にある私の家へと続く階段を登ると、来ないのか？ とまるで家の住民かのように私を見下ろした
「あんたの家じゃないんですけど」
ヒヒヒ、と笑った勝利はどこか満足げ
仕方なく、甘い匂いのする階段を登って玄関の扉を開けた
店に健人くんが居なかったところからすると、中で何か焼いていらっしゃる
「おかえり！ お、勝利！ 来たな〜」
久々に会う勝利を嬉しそうに見ると、健人くんはオーブンで焼いていたパンケーキをお皿に盛りつけた
「ちょうどたくさんできちゃったから、食べてって」
「そのつもりで来たんだよ」
歳上の健人くんにも物怖じしない勝利は、相変わらずどこか強気
男の子はこれくらいが可愛いのか、健人くんは勝利をよく可愛がっていた
「ぁ、ねぇそうだ。2人のどっちかさ、私のレポート手伝ってくんない？」
思い出したように鞄を開けて、中からまだ白紙の紙を取り出した
「なんか、取材？ みたいなのしなきゃいけないんだけど」
紙をパタパタ揺らして2人に訴えかける
誰よりも早くパンケーキにかぶりついて口の周りにチョコソースを付けている勝利に目をやる
「…健人くんでいいや」
「いいやってなんだよ、健人くんがいいだろ」
「はいはい、健人くんがいいです」
口の中にパンケーキを含んだまま、勝利が笑う
「俺は働く大人だぞ、話すことはたくさんある」
「なんか方向逸れそうだけどね…」
自信満々な健人くんに小さく返す
そうだよな、でも
私たち一家のために、私のために、大学を卒業してすぐにこの店の経営を代わってくれたんだもんな
健人くんは本当に、これがやりたいことだったのかな
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えつ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです＾＾続編もよろしくお願いします！ (2019年4月24日 23時) (
レス) id: 94efd89660 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - はじめまして。この作品すごく好きです！一気に読んでしまいました。移行後の続きを楽しみに待ってます。 (2019年4月24日 17時) (レス) id: 88ef7968ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えつ | 作成日時：2019年4月6日 22時
