見えない愛 (ページ5)

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大倉said

目を開けると、やはりそこには真っ暗い景色が広がってきた。ただ、朝と違うことは、病院特有の消毒液のにおいと、一定に鳴り響く電子機器の音、俺のことを必死に呼ぶメンバーの声。意識がハッキリしてくると、まず、信ちゃんの声がした。

信｢おいたつ！わかるか？｣

忠｢信ちゃん？｣

信｢そうや。みんなもおるで。｣

忠｢…怖いねん。

朝起きたら急に目が見えなくなってるし

転んで腰はめっちゃ痛いし

俺、どしたん？何があったん？｣

裕｢もうすぐお医者さんが来てくれて

詳しい話はしてくれるからな。

それまで待っとれ。｣

静かになって今気づいた。
誰かが静かに泣く声。
確かに聞き覚えのある泣き方。
独特なあの泣き方だ。

忠｢ヤス？泣いとるん？｣

章｢ﾋｯｸ泣いてへんよ…｣

忠｢俺あたりやん。隠さんでよ。｣

章｢…ごめん。目、覚ましてくれて嬉しかったんや。

起きなかったらどうしようって

ホンマに怖かったから。｣

忠｢心配かけてほんまごめんな。｣

ガラガラ

医｢大倉さん、今よろしいですか？｣

忠｢はい。大丈夫です。｣

医｢具合の方はいかがでしょうか？｣

忠｢まぁ、いつもと変わりなくって感じですかね。｣

医｢大倉さんの病状や、

これからの治療方法などを

お知らせしようと思いまして。｣

忠｢…はい。｣

はぁ怖い。何言われるんかな？

医｢まずは、腰の方は折れてはいるのですが

脊髄は大丈夫でした。

なので骨折が治れば動かせるようになります。

治るまでは固定しておくので

その後のリハビリが必要となります。

そして目の件ですが…｣

忠｢…大丈夫です。話してください。｣

ホンマはめっちゃ怖いけど、
俺のことやから、
俺が聞かなあかんねん。
いつまでも守ってくれるお兄ちゃんに
任せるわけにはいかんねん。

医｢目が見えなくなった原因は脳に腫瘍が出来てて

それが目の神経を圧迫してるからだと思われます。

大変申し上げにくいのですが

目が見えるようになる確率は

あまり高くありません。｣

忠｢…どういう…ことですか？｣

医｢かなり進行していて、腫瘍が大きいんです。

この場合、いきなり手術出とることは不可能です。

そのため、抗がん剤を使って

腫瘍をある程度小さくする必要があります。

抗がん剤の効果が早いうちに現れ

腫瘍が小さくなったら

多少の可能性は出来ますが、摘出するときに

神経に当たってしまう確率が高いです。

その場合、目が見えなくなってしまうんです。｣