お礼企画後日談3/utu ページ48
後日談その5 鬱先生の場合
「お前らほんまいい加減にしとけよ…。」
「いやぁ大先生ならペロっといっちゃうかと思ったんやけどなぁ。」
「ほんまやで、お前案外常識あったんやな。」
本日は卒業式。
受け持ちの生徒たちの卒業を無事に見送り、居酒屋で気心知れた仲間と思い出に花を咲かせる。
となると、自然と話題は一人の少女の事になる。
「でも俺らが彼女に教えたのは大先生がどんなに最低な奴かって事やで?」
「そうそう、それでもお前がいいなんて言う奴もうおらんで?ヤっちゃえばよかったのに。」
「コネシマさん、それシビアやわ…。」
あれからAちゃんが僕にちょっかいかけるような事は一度もなかった。
新学期には夏休みの出来事なんかまるで何にもなかったかのように普通に接していた。
あんなデートされて意識しとった自分の方が子供みたいやわ…。
「もう今日で生徒でもなんでもないやん。いかんでええんか?」
「あんなん夏風邪みたいなもんやろ、もう僕の事なんかなんとも思ってへんて。」
「そうかなぁ?どう思う?」
「失礼ですよねぇ、女の子の真剣な恋心を夏風邪だなんて。やっぱ鬱先生って屑ですよねぇ。」
「せやろ?どうする?俺にしとく?」
「そうですねぇ、ゾム先生の方がいざという時守ってくれそうですもんね。鬱先生はきっと私を置いて自分だけ逃げちゃいそう。」
「――――――は?」
なんでここにAちゃんがおるん?
「ふふっ鬱先生ビックリしてる。」
「いや…そらそうやろ…え?なんで?」
「うちの学校の先生って友達思いで生徒思いですよねぇ…」
「お前ら…。」
余計な事を、と睨むも二人はニヤニヤ笑って席を立つ。
ほんま、やってくれたな…。
「ねぇ先生。賭けをしましょうよ。」
「…どんな?」
「私が先生の考えてる事当てたら私の勝ち。」
「僕が勝ったら?」
「先生の事すっぱり諦めてあげる。」
「なら――「先生、私の事好きでしょ?」
こちらを見つめる大きな黒い瞳。
好きでしょ?なんて自信ありげな台詞のくせに、俺を見るその瞳に不安が隠しきれてない。
やっぱ敵わんなぁAちゃんには…。
「僕の負けです。」
降伏するしかないやん、こんなもん。
あの夏の日から俺の心にずっと君がおるんやもん。
「勝者の望みはなんでしょう?」
「鬱先生と、デートがしたい…もう一度。」
「ええよ、いくらでも。」
いくらでも、どこででも行くわ。
あの夏のデートを、もう一度やり直そう。
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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
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