お礼企画その7/連載番外編 ページ40
*連載中の「総統の愛した甘味屋さん」の番外編の未来設定になります。
「A、引き出しの中にあるインク取ってくれ。」
「はーい。」
いつものようにグルッペンの書類整理の監視をしている最中、インク瓶を取る為部屋の中でも一際豪華なグルッペンの机に向かう。
何度言っても隣にいないとやる気が出ないと我儘を言うグルッペンは、今日も部屋の真ん中に置かれたソファに座って、体を丸めながらローテーブルに向かって書類と格闘していた。
あんな体制でお仕事してたら絶対に腰痛めるのに…。
やれやれと思いながら引き出しを開ける。
こんな豪華な机の触るのってなんかドキドキするんだよね。
すっごいお宝とか入ってたらどうしよう。
一番上の引き出しを開けた瞬間、私の目に飛び込んできたのはお宝でもなんでもない一枚の写真だった。
グルッペン、若いなぁ…。
私と離れてから再会するまでの期間に撮られただろう写真。
あの頃より少し大人っぽくなったグルッペン、今よりも少し若いグルッペン。
私の知らなかった時間のグルッペンがそこにいた。
それにしてもこれって…。
すぅと頭が冷えていく。
私の知らないグルッペンを見れたのはすごく嬉しいけど、これは手放しで喜べるようなものではなかった。
「A?どうした?」
グルッペンが顔を上げてこちらを見る。
咄嗟に手に持っていた写真をポケットに入れてしまった。
「ごめん、あったよ。」
引き出しの中からインク瓶を掴み取りグルッペンの元へと届けた。
どうしようこれ…。
完全に戻すタイミングを失ったポケットの中身を服の上から触れる。
すごく悪い事をしてるみたいで心臓がドクドクを音を立てていた。
結局夕飯の時間になってもポケットの中の写真はそのままだった。
いつものように騒がしく夕飯を食べる彼らの中、全く食が進まない私にグルッペンは眉を下げながら頭を撫でる。
「どうした?全然食べてないようだが。」
「うん…ちょっと夏バテかも。」
「大丈夫か?何か冷たいものでも持って来させよう、果物とかなら食べられそうか?」
「ううん、大丈夫。もうお腹いっぱいだから。」
心配してくれるグルッペンに罪悪感で心が痛む。
もう素直に白状して謝ってしまおうかな…。
でもあの写真を見てグルッペンがなんて言うのか考えたら怖くてとても言えそうにない。
迷いながら写真に手を触れた瞬間、コネシマくんの大きな声が食堂に響いた。
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ひとちん(プロフ) - NORTHさん» NORTHさんコメントありがとうございます!初めてのギャグがもはや黒歴史になっていたところでそのお言葉…嬉しいです…!よければ短編集2の方もどうぞよろしくお願いします!あそこまでぶっ飛んだギャグはありませんがww (2017年10月29日 19時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
NORTH(プロフ) - 突然ですが初コメ失礼します!ひとらんの回の主人公が面白すぎました…あれですね、貴方様はギャグセンもあるんですね!すごいです!リスペクトです!頑張ってください!(語彙が…無い!) (2017年10月29日 19時) (レス) id: ecb1a421ae (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - ひとちんさん» こちらこそ(*´▽`*)これからもよろしくお願いいたします! (2017年10月8日 16時) (レス) id: cb678ab533 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ヒメ*さん» ヒメ*さんコメントありがとうございます!最近更新サボってますが頑張って更新するので気長にお待ちいただければと思います!感想下さってありがとうございました!これからもよろしくお願いします! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - こんにちは!いつも読んでいます!『総統の愛した甘味屋さん』を読ませていただきました!ひとちん様の書く小説は本当に素晴らしいな、と心から思いました!応援しています!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
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