38 ページ38
「あかん。」
「止めんな、俺は行く。」
「今行ったとこで死ぬだけや。」
「あいつが助かるならそれでいい。」
「〜〜〜っグルさん!!」
グルちゃんの執務室で続く平行線の会話。
あの後慌ててここに戻ったトントンをオスマンと追いかけてきたら、俺の予想を超すグルちゃんの姿があった。
銃や剣を装備して飛び出して行こうとしたグルちゃんをトントンが間一髪のところで引き留めた。
まさか今すぐ飛び出して行くとは…。
どんだけ大切な女なんや、完全に頭ぶっ飛んどるやん…。
周りがヒートアップしてると妙に冷静になれる。
マンちゃんを見ても神妙な顔して固まっとるだけやし。
こういうんは俺のキャラちゃうねんけどなぁ…。
「あーグルちゃん、一回落ち着き。」
「うるさい。」
「お前がうっさいわボケ、あんた女心っちゅーもんが分かっとらん。」
俺の言葉に静まり返る部屋。
ほんまこういうんはトンちゃんの役目やろ…。
まぁ童貞のトンちゃんに今回の件は荷が重すぎるし、しゃあないかなぁ…。
「グルちゃんが死んであんたの女が助かったとして、それでその子が喜ぶとでも思っとんのか?そんなのは男のエゴや。」
口調が荒ぶらないよう、煙草に火をつけ心を落ち着かせる。
熱くなってはだめだ、頭が飛んでる相手には冷静に諭すように話さなあかん。
「あんたが死んだらその子、自分をめっちゃ責めるで。自分が知らせてしまったからグルちゃんが死んだって。グルちゃんそれでええんか?」
俺の言葉に項垂れて動きを止めるグルちゃん。
オスマンとトンちゃんがほっと息をつく。
あーぁ情けないなぁ、グルちゃん。
そんな項垂れて、いつもの威張りちらした態度の欠片もないやん。
あんたをそんな風にする女ってよっぽどいい女なんやろ、俺もぜひ会ってみたいわ。
できれば二人が笑い合って、幸せそうにしている姿を見てみたい。
「大丈夫やグルちゃん。あんたの女は強い、ちゃんとあんたが助けに来るのお利巧さんで待っとるわ。まぁその方法は僕やなくてそこの木偶の棒のお二人さんが考えてくれるやろ。」
茶化すようにして棒立ちで見守っていた二人に目を向けると、ニヤリと笑って挑戦的な目で見返してくる。
そうそう、こういうんは君たちの役目やんな。
「当たり前やろ、大先生ごときが調子乗んなや。」
「いつも無能の奴に言われたくないめう〜。」
二人の言葉に「頼む。」と小さく呟いたグルちゃんに、顔を見合わせて笑った。
さて、俺らのお姫さん返してもらいましょか。
936人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ