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夜、グルッペンに手を引かれて入った彼の部屋。
昔は父が使っていた部屋だったのにもう匂いから何から今ではすっかり彼の物になってしまった。
小さい頃はこのベットで父と二人で寝たこともあったけど、今隣にいるのは私の好きな人。
ベットの前で立ち止まる私を置いて、ベットにもぐりこんだグルッペンは横になって布団をめくる。
「ほら早く入れよ。」
エロイゾ、グルッペン。
何もしないとグルッペンは言ったし、彼がそう言うならまず間違いなく何もしないだろう。
だがどうにも自分に自信がない、この色気ムンムンな彼の横に寝転んで果たして正気を保てるだろうか…。
何度となくグルッペンの魔性オーラに当てられた自分の理性にもはや信用は皆無である。
「ほら。」
「うわっ!」
ベットの前でもじもじと踏ん切りがつかない私の手を掴み、グルッペンは無理やりベットに引き込んだ。
グルッペンの腕の中にすっぽり収まると、上に布団をかけられる。
ポンポンと布団の上から背中を優しく叩かれる振動が気持ちいい。
昔、父に寝かしつけてもらった時のようで心臓はドキドキしているのに妙に安心した。
寝る前に紡がれる物語を語るようにグルッペンは仲間の話をしてくれた。
どんなお話の登場人物よりも個性的で面白くてかっこいい彼の仲間たち。
苦労人のトントンさん、私の良い相談相手になってくれるだろうと。
グルッペンと同じ甘党のオスマンさん、彼の入れる紅茶は絶品だからきっと私のお菓子によく合うだろうと。
大先生こと鬱先生、女たらしの危険人物だから近寄るなと。
他にもみんなの話をしてくれた。
以前は彼の仲間の話を聞くといつか消えてしまうこの日常に寂しい気持ちになっていたけど、今は違う。
グルッペンと私にはあの約束があるから。
グルッペンの話す未来の光景に、グルッペンと仲間たちの傍に当然のように私の姿を描いてくれているから。
グルッペンの心地いい低音の声から紡がれる楽しい未来の話と、彼の胸から聞こえる少し早い鼓動の音を聞きながら、眠りについた。
すぅすぅと腕の中から寝息が聞こえ始めて、話すのをやめる。
初めは緊張して固くなっていた体も、すっかり緩んで俺の体にぴたりと寄り添っている。
一緒に寝ようと誘ったのは自分なのに、好きな女が無防備に腕の中で寝ていて寝つけるほど図太くはなかったようだ、今夜は到底眠れそうにない。
笑みを浮かべて眠るAの額にキスをする。
「おやすみA、いい夢を。」
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なな - うん。 いや最推しにこんなんされたらもう本当ヤバいなぁ…((語彙力ッ いやグルちゃんかっこええ~… (2019年9月7日 18時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ* - グルさんイケメン…最推しです(*´ー`*) (2017年9月10日 9時) (レス) id: ab38d97291 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 75さん» 75さんコメントありがとうございます!楽しんで貰えたなら幸いです!!続編も次回作も早くお届けできますよう頑張ります!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月22日 12時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
75(プロフ) - ひとちん様初めまして。いつも楽しみに読ませて頂いております。この度は完結おめでとうございます!秀逸な作品構成にどきどきしながらページを送っておりました。続編、次回作共に首を長くしてお待ちしてます!体調にはお気をつけてお過ごしくださいませ。 (2017年8月22日 12時) (レス) id: 97ace52c10 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 水鈴さん» 水鈴さんコメントありがとうございます!感想とても嬉しいです!!2では二人のその後などを書かせて頂く予定ですので完成したらぜひそちらもご覧になってくれると嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2017年8月21日 22時) (レス) id: 30a8058165 (このIDを非表示/違反報告)
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