そしてカイトはヤンデレに挑戦しようとする(ヤンデレ要素ほぼ0) 2 ページ42
小屋なんていうのはもちろん冗談だ。作業するうちに、カイトは出かけたらしい。まぁ、完成品を先に見てしまっては面白くないから好都合、といったところだろうか。目の前の木の塊を綺麗な蒼と白に塗り上げ、乾くのを待つ。速乾タイプだから、そう時間はかからないだろう。
「マスター、ちょっとマスター」
「めーちゃん何」
「コレ着てちょうだい」
どこから出してきたのか、めーちゃんは白い謎のモノを私に渡す。言われるがままそれに着替えてみるが、いかんせん寒い。
「おいめーちゃん何だコレ。露出度高すぎんだろ」
「はいマスターそのまま動かないでー」
「話聞けよ」
めーちゃんは一切聞く気が無いらしい。赤いリボンとハサミを手に、何やら考えている。
「そうね、ここをこう結んで……」
「何するんだ!?」
「何って、決まってるじゃない。マスターのラッピングよ」
「は!?」
言っている意味がちょっとよく分からない。私はラッピングする側だろうが。
「あらー、可愛いじゃないマスター」
「黙れ外せ」
「あーやめてマスターそれ取っちゃダメよ!」
「知るか!」
「だって、プレゼントするんでしょ?」
「あのクロゼットをな」
「あのクロゼットも、でしょ?」
「何でだよ。他に何プレゼントするんだよ」
「マスター」
「ふざけてんのか!?」
「あたしはいたって真面目よ? まぁ、裸リボンでもよかったけど、さすがにそれじゃあいつに刺激強すぎるかと思って」
むしろ私は私をラッピングするというその発想にツッコミを入れたいのだが、そんなこと言ったところでどうにもならないことを悟り、白いミニワンピと赤いリボンに甘んじる。
「知るかよ。で、帰ってきたらハッピーバースデーとか言ってこの格好で飛び出すのか? そんなの嫌だぞ」
「でもマスターこういう機会でもないと、ずっと一緒にいるのに何も進展しないんじゃなあい?」
「何がだよ意味が分からない」
「とりあえず、クロゼットドアの前に置いて」
「あぁ」
「で、その中にマスターが入って」
「あぁ……っておい!」
「入ったので閉めて」
「ふざけんな」
「で、マスター。バカイトが帰ってきたらそこを開けて出てくるのよ! サプライズよ!」
「はぁ!?」
ったく、何なんだこれは。結局はされるがままにされてしまう。めーちゃんのことだから、どうせ私がつい意地悪をしてしまうタチだってのを見抜いてのことなんだろう。
……だからってこりゃないだろ。どう見てもめーちゃんの趣味だし。寒いし。
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あかり - 糸魚川翡翠@京都より帰還さん» 翡翠ちゃんは帯人が好きなんですよね? (2016年2月29日 19時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» ただいま! そうね、短編集の方ではあまり亜種は書かないからな。 (2016年2月29日 10時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 翡翠さん!おかえりなさい!やっぱりヤンデレカイトでしたか! (2016年2月28日 20時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» YESヤンデレカイト!! ラストの一言ってところがお気に入りです。 (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» 書いてる私のテンションも高かったりしますw (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/
作成日時:2015年10月11日 10時