検索窓
今日:19 hit、昨日:3 hit、合計:50,065 hit

小さな願い 6 ページ33

『マスター、どこか行きませんか?』
「どこか行くって、私は土地神だからな…出雲に呼ばれたときくらいだよ、この地域から離れられるのは」

もっとも、私みたいな下級の神が出雲に呼ばれるのは毎年なんかではなく、本当になんか大きなことのある、数百年に一度とか、そんなもんだ。

友神(ゆうじん)がいるわけでもない。

『マスターは、ずっとここにいて退屈じゃないんですか?』
「そんなもん慣れた。むしろ今は、お前がいてくれてるからな。話し相手に困らなくて楽しい」
『それは…嬉しいです。僕は平気ですけど、マスター退屈していないかな、と』
「優しいな、お前は」

あれから、十数年は経ったかと思うけど、彼の笑顔は当時と何も変わりない。

そうか、お前も、人間じゃないんだな。

老いて、死んでゆく。

それとは違う定めを、送るというのだな。

『ここは、神社なんですよね』
「何だ?今更」

そりゃ、半世紀以上前から神主はいなくなり、四半世紀前くらいには訪れる人もいなくなったし。
私とカイトが出会ってからというもの、現れたのなんか迷い込んだ狸とか、その類だ。

『お祭りとか、無かったんですか?』
「ずっと昔はあったけどな」

私に退屈でないか聞いているようで、実はカイトが退屈しているんじゃないか?

『じゃあ、やりましょうよ、お祭り!』
「はぁ!?」
『だって、せっかくマスターは神様なんですよ?なんか、もったいないじゃないですか!』
「なんだそりゃ!それ、カイトが退屈してるんじゃないか?」

それなら私でなく、人間のマスターといた方がいいんじゃないだろうか?

『やっぱ、やめました』
「んだよ」
『いろんな人が来て、沢山お願い事が来て、マスターが忙しくなってしまったらちょっと寂しいですから』

……なんか、可愛いな。

小さな願い 7→←小さな願い 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (172 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
設定タグ:ボーカロイド , KAITO , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あかり - 糸魚川翡翠@京都より帰還さん» 翡翠ちゃんは帯人が好きなんですよね? (2016年2月29日 19時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» ただいま! そうね、短編集の方ではあまり亜種は書かないからな。 (2016年2月29日 10時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 翡翠さん!おかえりなさい!やっぱりヤンデレカイトでしたか! (2016年2月28日 20時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» YESヤンデレカイト!! ラストの一言ってところがお気に入りです。 (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» 書いてる私のテンションも高かったりしますw (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/  
作成日時:2015年10月11日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。