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小さな願い 5 ページ32

『マスターは、名前は何というのですか?』

「名前……そんなもんあったっけ。神であることはずっと分かってたし、ずっと、神様としか呼ばれなかったからな。それに、偉い神でもないから、八幡様とか、天満宮様とか、そういったご立派なものも無い」

『この神社は、何というのです?』
「北野神社だ。どこにでもあるさ」

『じゃあ、マスター、マスターの名前、こんなのはどうですか?"北野 社(きたの やしろ)"っていうんです』
「そのまんまじゃないか!」

とはいいつつも、「北野 社」という名前を繰り返してみる。

北野 社……かぁ。

『ほら、いそうじゃないですか?社って、呼びやすいですし』

本当に、笑ってしまうほどそのままだけど。
でも、嬉しかった。

君が私にくれた、初めてのもの。

私の、名前。

「じゃあ、今日から私は、北野 社だ。改めて、よろしくな!」
『はい、マスター!』
「結局マスターなんかい!」
『マスターはマスターですから』

彼はそう言って、静かに私に微笑んだ。

そっか。
彼にとっては、同じものなんだね。

人間も、神も。マスターはマスター。それだけなんだね。

私のことが見える人の中でも、こうやって人間と同じように接してくれる人なんてほとんどいなかった。

まぁ、最近は爺がいたくらいか。

神と知って、媚びへつらうとか、化け物扱いするとか、神聖であるからと近づかなくなったりとか。

人間の反応は、大概そんなもんだ。
私だって、大した神でも無いってのにさ。



もう少し、彼と話したい。

「なぁ、カイト」
『何でしょうか?』
「昔話は好きかい?」
『マスターの話してくれることなら、何でも』


「昔々…永遠の命を願った者がいたんだよ…」

______

千夜一夜はとうに過ぎた。

私が、私の見てきたもの、この世界の、人間の、長い長い歴史を。

カイトが、私の知らない、電子の世界の話を。
そして、私達の話から紡ぎだした、沢山の歌を。

一瞬として、退屈したことはなかった。

こうして、2人で話して、笑って、歌って……

そんな日々が、幸せだった。
私は、そんな日常が好きだった。

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あかり - 糸魚川翡翠@京都より帰還さん» 翡翠ちゃんは帯人が好きなんですよね? (2016年2月29日 19時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» ただいま! そうね、短編集の方ではあまり亜種は書かないからな。 (2016年2月29日 10時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 翡翠さん!おかえりなさい!やっぱりヤンデレカイトでしたか! (2016年2月28日 20時) (レス) id: b06cf0ef99 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» YESヤンデレカイト!! ラストの一言ってところがお気に入りです。 (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)
糸魚川翡翠@京都より帰還(プロフ) - あかりさん» 書いてる私のテンションも高かったりしますw (2016年2月28日 11時) (レス) id: 9384caea49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:糸魚川翡翠 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisui0327/  
作成日時:2015年10月11日 10時

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