5人で生きてゆく…part64 (ページ49)

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［智にぃside］

潤の不安は
どんどん増していく一方で…

翔「いるよ、潤。ここにいる」

潤「…っ、んっ…んくっ…いて、いて…？」

常に誰かが体に触れていないと落ち着けない状況。

寝ている間にと思って、そっと手や体を離せば
ビクッとして起きてしまって、そこから
また落ち着くまで時間がかかってしまう。

そんなんだから、潤はゆっくり眠ることが出来て
いなくて…

翔「いつ一人になるか…ってビクビクしてるから
眠れてないんだよね…」

雅「夜だけでも、薬使えない…？」

翔「ん、使おうか。このままじゃ回復しない
もんな…」

薬は潤が断固拒否で使えていなくって。

『眠る薬は使わない』って約束して、やっと点滴
させてくれたんだ。

翔「夜、絶対に一人にならないって状況で使おう。
2人で付き添ってれば、トイレとか行きたくなっても
大丈夫だから。薬を使ってても100%目覚めない
って保証できないから…」

「そうだね」

潤「…っ、いな、い？…ょ、にぃ…」

和「いるよ、リビングにいる。呼ぶからね」

話をしている間、和に見ててもらったけどウトウト
するだけで眠れなかったみたい。

和室から2人の声が聞こえてきたからみんなで
向かう。

声が聞こえない状態だから、体に触れたり、耳元で
声を掛けてあげない限りいつまで経っても
落ち着けない。

翔「…おいで、潤」

潤「…っ、んくっ…しょ、にぃ…」

翔「ん、いるよ。ここにいるだろ…？」

翔は潤の体をゆっくり起こして、それからギュッと
抱き締める。

そのまま背中をゆっくりさすりながら「大丈夫」って
何度も声を掛けて。

翔は心の中で葛藤してると思うんだ。

潤には『眠くなる薬は使わない』って約束を
したからね。

言い方悪いけど、それを裏切ることになるわけで。

潤は『翔先生は嘘をつかない』って思っているから
点滴を受け入れたから。

もちろん和も。

でもね、これは時には必要だと思うんだ。

もちろん、本人に嫌な思いをさせないことが
大前提。

だから今回も、翔は万が一に潤が目覚めたことを
考えて、2人体制での看病を提案してきた。

これなら潤が目覚めても辛い思いをさせずに済む。

「大丈夫だよ、翔。ちゃんとに上手くいく。
これが最善策なはずだから…ね？」

翔「…ん、ありがとう」

点滴の側管から薬を入れるのを躊躇った翔にそっと
声を掛けて、潤の隣に寝転ぶ。

今日は翔と俺が潤の傍にいることにした。

和の傍には雅紀にいてもらう。

こんな時こそみんなで。