3197.【末っ子の視聴力障害】 ページ47
［翔にぃside］
1週間前から和が体調を
崩していて。
智にぃも仕事がちょうど忙しい時期だったから
ちょっとバタバタした。
だから潤の体調不良に気が付けなかった。
なんていうのは言い訳で…
「39℃超えてる…」
潤「…っん…ん…ん…はぁ…はぁ…」
智「…辛いね」
潤「…っ、はぁ…はぁ…」
登校時間が近付いても、なかなか起きてこない潤を
起こしにいって驚いて、すぐに智にぃを呼んだ。
ベッドに仰向けに寝転んだ状態のまま、肩で荒く
息をして、苦しんでいたから…
「すぐラクになるから…」
潤「…んっ…ん、はぁ…ん、はぁ…」
病院に連れていって検査と処置。
智「和は落ち着いてるって」
「ん、よかった…ありがと…」
病院に向かう時、和は眠っていたから雅紀に
託してきた。
さっき目覚めて、雅紀から状況を伝えたけど
落ち着いてくれているみたい。
先「翔くん…ちょっといい？」
「あ、はい…」
処置が終わって診察室のベッドで眠っている潤を
智にぃに見ていてもらって、先輩から話を聞く。
急激に熱が上がってしまったことで、視力と聴力が
低下しているみたい…
先輩は言わなかったけど、熱の上がり始めで対処
できていれば防げた可能性がある。
和のことで手一杯で気が付いてやらなかったことが
悔やまれる…
「…ごめんな、潤…」
潤「…っ、ん…んん…」
潤はベッドに寝転んだまま手を彷徨わせて、俺らを
探してる…
不安からか、目が潤んでる…
「ん、いるよ。ここにいるから…」
先「こんな精神状態だし、連れて帰って、家で
ゆっくり休ませてあげた方がいい」
「…はい、ありがとうございました…」
熱い手を握って声を掛けながら先輩に頭を下げて。
先「大丈夫。一時的なものだから。な？」
「…はい」
智にぃと俺の表情が曇っていたからか、先輩が
肩を優しく叩いてくれる。
「潤…帰ろうか」
潤「…っ、いて…、いて…」
立ち上がる為に体からほんの一瞬手を離しただけで
潤の手が俺を探してバタバタ彷徨う。
「ん、いるよ。ずっと傍にいるから…」
潤「…っ、んくっ…」
すぐに手を握って声を掛けたけど、聞こえていない
から、不安からポロポロと涙が止まらない。
「大丈夫…ごめんな…」
潤「…んっ」
縋ってくる体をギューッと抱き締めて「このまま
帰ろう？」って耳元で声を掛けたら頷いた。
少しは聞こえているみたい。
「…よいしょっ」
潤「んん…」
抱き上げたら、首に手を回してしっかりと
くっ付いてきた。
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
