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［翔にぃside］
智にぃからの申し出には
感謝しかない。
だって、智にぃにしか出来ないことだしね。
不器用な俺がやったらどうなることか。笑
智「薬とかどうする？」
「…どうしよっかな」
翌日の午後になって、散髪の時間。
和はお昼ご飯の途中から、ちょっとソワソワ
落ち着かなくなってきて…
さっき、雅紀と潤があらしの散歩に連れ出して
くれた。
その間に智にぃと俺は準備。
洗面所に椅子をセットして…
少しでも気が紛れるように、洗面台にiPadも用意。
お気に入りの映画でも上映してやろうかと。
「薬は…多分さ、平気だと思うけど…」
智「おっけ。やめておこう」
「ん、ありがと…」
迷ったけど…薬の服用はやめておくことにした。
乗り越えて自信にして欲しいって気持ちがあるし、
少なからず副作用もあるから、出来れば控えたい。
「もし途中でパニクったら…」
智「ん、もしね。大丈夫、教えて？」
「ん、ごめん…」
『もしも』の話だけど、考えないワケにはいかない。
でも、考えるのも伝えるのも少し辛くて言葉に
詰まったら…智にぃはちゃんとそれを
分かってくれる。
「…とにかく刃物は遠ざけて、すぐ呼んで？
場合によっては薬…使うかもしれない」
智「ん、分かった」
［和side］
智「…ふふ、始めますよ〜？笑」
「ん、お願いします…」
いざ散髪となったら、ちょっと緊張してしまって…
だけど、雅にぃと潤とあらしのお陰でリラックス
出来て、さらに鏡越しの智にぃの柔らかい笑顔に
不安が吹っ飛ぶ。
智「和はさ、小さい頃はそんなに髪型にこだわりが
なくってね？」
「そうなの？」
智「そうなの。髪の毛切りに連れていっても、
『坊主でいいから早く終わりにして』って、よく
言ってたよ。笑」
「…んふふ」
智「反対に潤はこだわりが強くって『ここがもっと』
って、あーだこーだ言ってた！笑」
「…んふふ、今と同じじゃん！笑」
智「だね。笑」
小さい頃の話を聞いているうちに、刃物への恐怖も
消えてきて、楽しくなってきた。
智にぃが、ゆったり、ゆっくり進めてくれて
効果抜群。
智「カッコいい髪型にする？笑」
「…んふふ。できんの？笑」
智「ん〜、分かんない！笑」
「いいよ、やってみても」
智「…ふふ、おっけぇ〜」
失敗したら坊主にしちゃえばいいしね。笑
髪へのこだわりがないのは小さい頃と変わって
いないんだと気付く。
でも今日は、楽しくて心地いいこの時間が長く続いて
欲しいと思った…
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
