3189.【2】 ページ39
［和side］
愛嬌だけでは
なんとかはならなくて。笑
智「先生から、電話きちゃった」
「…んぅ」
ついに金曜日の午後、学校から保護者宛に電話が。
翔「土日で切らないと、登校許可出せないって」
「むぅ…いじわる」
納得いかないけど、規則だから仕方ない。
俺の我儘で、学校には伝えていないワケだし…
雅「少し休んだら？」
潤「勉強は俺が教えるし」
「んぅ…」
悩んでしまう…
学校には行きたい。
でも、ハサミへの恐怖心はまだ消えていなくて…
「…っ、んっ…がっこ…行きた、…のに」
翔「ん、そうだよな…」
にぃ達のことも困らせて申し訳ないって思うけど
ポロポロと零れ始めた涙はとまらなくて…
「…っ、んくっ…、んっ…」
智「泣かなくて大丈夫。方法はあるはず。ね？」
「…っ、んっ…んくっ…」
泣くしかできない俺の背中を、智にぃはずっと
さすってくれた。
それからしばらく、あーでもないこーでもないと
話し合いというか、意見の出し合いみたいなのが
続いて。
俺はいくつかの提案に「いやだ」と答える。
少し前は美容院にいけるかも、頑張れるかもって
気持ちがあったのに、今は少しもなくなってしまって
残っているのは恐怖心だけ…
『どうしよう…』って気持ちが強くなってきて
体が震えてしまう。
［雅にぃside］
和は、智にぃに背中をさすられながら、どんどん
俯き気味になっていって…
「…かず」
和「…っ、んっ…ん…」
翔「大丈夫。ゆっくり…深呼吸…」
だんだんと体が小刻みに震え出したから、翔にぃが
落ち着かせてくれている。
『今日は一旦、この話はやめよう』ってなった時、
智にぃがポツリと「俺が切ろうか？」と。
智「ねぇ、かず。…どう？にぃだったら、恐く
ないんじゃない？」
和「…」
突然の提案に、しばらく考え込むような表情を
していた和だったけど…
和「…ん、そうした、い」
智「…ふふ、決まりだね」
コクンと頷いてから、智にぃの膝に頭をのせた。
潤「よかったね、かず。智にぃなら安心だね」
和「…ん」
翔「器用だから心配ないしね」
和「…ん、んふふ…」
智「任せて」
コクコク頷きながら甘える和の頭を、智にぃが何度も
優しく撫でる。
「あひゃ…寝ちゃたね」
智「…ほんとだ」
そのまま膝の上で眠ってしまった和の髪の毛を
弄りながら、智にぃは「もっと早く思いつけば
よかったな」ってポツリ。
智にぃのお陰で、もう辛い思いをさせずに
済むんだもん、俺らは感謝感謝だよ。
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
