5人で生きてゆく…part64 (ページ35)

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［翔にぃside］

智にぃは唇を尖らせて
「うぅ…」って。笑

可愛過ぎか！ってね。

それでも謝罪の言葉は出ないみたいだったから…

「まぁいいよ、一人でゆっくり休みなよ」

足元までガッツリ捲って取り上げていた掛け布団を
返してあげながら、声を掛けたら…

智「…め、…なさ…」

「…笑」

囁きか？ってくらい小さな声が。

「え？なに？笑」

ここまできたら、とことんからかってやろうと
思って。

そしたらプクッと膨れた智にぃが「ごめんなさいって
言ってる！！」だってさ。笑

ほんと、こういうところ見ると和と兄弟なんだなぁって
改めて感じるんだよね。

そっくり！！

でも、からかうのはもうおしまいね。

「分かった、もういいよ。その代わり、入院中は
絶対に無理しないでね？」

智「…ん」

「少しでもおかしいと思ったらすぐ言うこと。
分かった？約束ね？」

智「…ん、分かった…約束、する…」

ボソボソと呟きながら、伏せ目がちな智にぃは
ベッドサイドに立つ俺の白衣の裾を握ってくる。

「もう置いていったりしないよ？」

智「…ん」

ただでさえ心細かった智にぃには、置いてけぼりは
効果的過ぎたみたいで少し可哀想になっちゃった。笑

椅子に座って髪の毛にそっと触れたら、やっと安心した
表情になって、目も合わせてくれた。

「不安になっちゃったね…ごめんね？」

智「…んーん」

「ここにいるから。ゆっくり休んで…」

智「…ん、ありがと…」

すぐには眠らなかった智にぃと、2人でゆっくり
少しだけ話をした。

長めの入院になってしまうことに戸惑っているのと、
申し訳なさを感じているみたいだから、入院中に
その気持ちを少しでも軽くできたらいいな…と
思った。

「おやすみ、智にぃ…」

智「…」

智にぃが寝息を立て始めたのを確認して、そっと
頭に触れる。

フワフワの柔らかい髪の毛、この温もり。

絶対に失いたくないもの。

だからどうしても、命の危機となると、こうして
厳しくし過ぎてしまう。

この人が誰よりも頑固者だと知っていながら…笑

智「ねぇねぇ…俺、元気なんだけど…」

「ん、元気そうに見えるね。だから、何！？笑
退院の日は変わらないけど？」

智「んぅ…」

入院3日目にしてこれなんだもん…困る、困る。

「結構大掛かりな手術してるんだからね！？」って
何度伝えたことか。

智「ねぇ、翔？」

「はい、なんでしょう？」

智「んぅ…」

「ははは！」

智「…ふふ」

こうして笑えることに感謝しなくっちゃ。