3171.【大発作で消えそうな命】 ページ21
［潤side］
シ「かずー、
そっち調べた〜！？」
和「まだー♪」
シ「早くしろよ〜！笑」
和「…んふふ」
今日はクラスの半分が課外授業で野外へ。
土とかのね、成分調べてるんだ。
和は朝から体調も問題なくて、いつものメンバーで
ワチャワチャ楽しそうにしてた。
それなのに、なんの前触れもなく和の体を大きな
発作が襲ったんだ…
ケ「和！！かず！！」
和「…」
近くにいたケンの尋常じゃない叫び声が聞こえて
慌てて傍にいったら、地面に横たわっている和。
「…っ、かず！」
和「…っ…」
胸に手を当ててギュッと力を入れている…
「かずっ…薬！」
和「…っ…」
エスティペンダントから薬を取り出して口元に
持っていってみるけど…
和「…っ、…んっ…」
「かずっ…」
体が痙攣し始めて、とても飲める状態じゃない。
ここまで急激に悪化するなんて…
ガタガタと震える体と紫に変色していく唇。
胸の痛みに苦しんで、胸元の服を握り締める手の力が
どんどん強くなっていく…
和「…っ、…んっ…、ん…、…っ…」
「…かず」
冷たくなっている手を握って声を掛けるけど
返ってくるのは苦しそうな呻き声だけ。
和「…っ…、んっ…ん…」
「かず…」
近くにいたクラスメイトが、先生を呼んできて
くれたんだけど…
和「…んっ…ん…っ…」
先「とりあえず救急車…」
「お願いします…」
たまたま今日引率できてくれていただけで、担任の
先生ではないから、初めての事態で対応が…
もちろんクラスメイトもあたふた…
和「…んっ…っ…」
「かずっ…もう少し頑張れ…」
和「んんー…っ…」
胸の痛みが強くて、息ができないみたい。
前に和が言ってたんだ…『大きい発作の時は、心臓が
握り潰されるみたいに痛い』『痛くて息が吸えなく
なるんだ』って。
和「んっ…んんー…」
「かず…しっかり。大丈夫だからな」
和「…ん…、んっ…っ…」
意識を飛ばして欲しくなくて声を掛け続けるけど
体は限界に近い。
和の頬を苦しくて零れる涙が濡らしていく…
和「…んっ…んん…っ…」
「がんばれ…」
こんな状況で『がんばれ』なんて言いたくは
ないけど…
和「…っ…んっ…んんっ…」
「がんばれ、かず…」
ビクビクと痙攣する体をさすりながら、声を掛け
続けて。
和「…っ…っ…んっ…っ…」
「かず！しっかりしろ！」
唇が変色していくけど、どうしてやることも
できない。
和がこんなに苦しんでいるのに、俺は助けて
やれないんだ…
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
