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［和side］
その後も、火への恐怖心は
大きくなるばっかりだった。
キッチンに入るだけで呼吸が早くなって…
「…っ、はぁ…はぁ…んっ…っ…」
コンロの火を見てしまうと過呼吸に…
にぃ達にも潤にも、これ以上心配掛けたくなくて
自室で呼吸を整える。
自分でなんとかしなきゃって…
入院中もリハビリも沢山助けてもらったんだから
って…
でも、にぃ達も潤も俺の異変に気が付いていた
みたい。
そりゃ、そうだよね。
一番近くで毎日俺のこと見てくれているんだもん。
智「かーず…おいで？」
「…」
夕食後、キッチンに食器を片付けにいった時に
呼吸が苦しくなって。
慌てて自室に戻ろうとしたら、智にぃから呼び止め
られる。
雅「いいんだよ、かず。こっちおいで？」
「…」
階段の下で足を止めてしまった俺を、雅にぃが
迎えにきてくれる。
みんな気が付いていて、今日まで様子を見てくれて
いたんだなって…
ホッとしたら、全身から力が抜けてしまって
階段の下に座り込む。
途端に弱い気持ちに押しつぶされて…
「…っ、んっ…こわ、い…」
雅「ん、そうだね」
翔「恐くなるのは自然なことだから。な？」
翔にぃも迎えにきてくれて「心配すんな」って
頭を優しく撫でてくれる。
雅「ソファーいこ？智にぃが待ってる」
「…っ、…んっ…」
翔にぃと雅にぃに支えてもらってソファーまでいくと
智にぃが優しく肩を抱いてくれる。
一人じゃないんだって実感できる。
智「かーず…我慢しないでさ、頼っていいん
だからね」
「…ん、んっ…」
智「一人でなんとかしなきゃなんて思わなくて
いいんだから…」
「…っ、んっ…ん…」
智にぃはずっと「よしよし…」って言いながら
背中をさすってくれていて…
「…ん、ありが、と…」
呼吸がずいぶんラクになったけど、隠していたことが
申し訳ないやら、情けないやらで…
翔「退院してからずっと？」
「…ん」
向かいのソファーに座った翔にぃに問われても
小さく頷くのがやっと。
雅「なーに、かずちゃん。そんな顔しないの」
「…だって」
でも雅にぃが、髪の毛がグチャグチャになるくらい
頭をガシガシ撫でてくれて。
気が付いたら「やめろやっ！笑」って笑えるくらい
元気になってて、みんなもクスクス笑うくらい
空気が軽くなっていた。
だから「ごめん」じゃなくて「ありがとう」って
伝えて。
まだこれから助けてもらわないといけないけど
不安はすごく小さくなった。
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作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
