2668.【次男のアナフィラキシー】 ページ18
［先輩side］
昼過ぎ、昨日から
微熱があった和くんを連れて病院にきた
智くんから連絡があったらしく。
翔くんに「先輩も一緒にいいですか？」って
声を掛けられた。
翔「この間の定期健診でエコーできなかったから
エコー検査もしておきたくて」
「ん、いいよ。一緒にいく」
翔「ありがとうございます」
頭を下げて小さく微笑んだ翔くんに何か違和感…
「…体調悪い？」
翔「いえ…」
「昼は食べたか？」
翔「はい」
勘違いかな。
あまり見たことない表情をした気がしたんだけど…
嘘をつくのが下手な翔くんが、即答してくるって
ことは、やっぱり俺の勘違いなのか。
「…ごめん、いくか」
翔「はい、お願いします」
いつもの診察室まで一緒に歩いて…
ドアを開けた瞬間に「翔にぃ ♪」って
笑顔の和くんがいた。
微熱っていっても本人が自覚していないくらいで
体調も悪くないらしく。
翔くん曰く「機嫌もいいので。笑」らしい。
甘える和くんの頭を撫でた翔くん。
その表情を見て思う。
…やっぱり、体調悪いんじゃないか？
背を向けてエコーの準備を始めた翔くんに
声を掛けようとした時…
翔「…っ…」
「…っおっと…」
ガチャン…
翔くんの体が大きく傾いた。
機材に掴まろうと手を伸ばしたけど、空振りに
終わる。
「…どうした？」
翔「…っ、…っん…」
両肩を支えて顔を覗き込んで驚く。
唇は変色し始めていて、目をギュッと閉じてる。
やっぱり、我慢してたんだ…
智くんに床にタオルを置いてもらって、
そこに寝かせる。
ベルトを緩めながら、ヘルプを呼ぼうとしたら
呼吸困難…
智「翔？？」
和「どうしたの…翔にぃ…」
「和くん？先生がちゃんと助けるから、そこの
ボタン押してくれる？」
和「…ん」
診察室に備え付けてある呼び出しボタンを
押してもらう。
「ありがとう。他の先生と看護師さんくるから
智くんと一緒にいてね？」
和「…ん」
沢山のスタッフが来たら恐がるかと思って
智くんに合図したら、診察室の片隅で
和くんの肩を抱いてくれた。
翔くんの呼吸はどんどん弱くなる。
「アレルギー反応でアナフィラキシーショック
起こしてるのかも。挿管することになると思う」
智「…お願いします」
駆け付けたスタッフと共に、翔くんを
診察室のベッドに移動させる。
「待っててね」
和「…ん」
不安そうにしながらも頷いてくれた和くんの
頭を撫でる。
「翔くん…」
ラクにしてやるから、もう少し頑張れ…
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
