2460.【4】 ページ10
［智にぃside］
無理矢理に薬を
飲まされた和は、なかなか落ち着けなくて…
グズグズ泣いてチアノーゼが出始めた。
薬で眠らせてしまえばラクだけど、それをするのは
最終手段にしたいって翔はいつも言ってる。
こんな状態だけど、和にだって気持ちはあるわけ
だから…
それでも、和はとっても頑固だから。笑
色んな手をつかったけど駄目で、俺的には
諦めようと思った時…
翔「かーず…？」
翔が和の耳元で、今までよりもさらに優しい声で
呼び掛ける。
翔「いっぱい汗かいたし、涙も出ちゃったから…」
和「…っ、んくっ、んっ…」
翔「髪の毛、洗おっか。…な？そうしよう」
正直一瞬「え？この状況で？」って思ったけど。笑
髪の毛を洗われるのが和は大好きで「気持ちいい」
っていつも喜ぶから。
確かに、リラックスできるかもしれないな…って
思って。
もう一度タオルで涙を拭いてやった翔は
「智にぃも一緒にお願い」って。
しゃっくり上げる胸元をさすりながら和に
優しい笑顔を向けてあげている。
翔「…ん？シャワー、するだろ？」
和「…っ、んっ、んくっ…」
伸ばされた手を包み込んで体を起こしてあげて
そっと背中をさする。
翔「よしよし、いいこ。移動しよっか」
落ち着いてきたのを見計らって、背中にのせて
洗面所まで運んでくれた。
「よかったね…」
ラクな体制をとらせてから、ホットタオルで顔を
拭く。
リラックスした表情になってきた和。
胸の動きも落ち着いて、唇の色も戻りつつある。
今の和に必要なのは医療ではなくて、心のケア。
分かっているつもりではいたけれど…出来て
いなかった自分。
また一つ、翔から教えてもらった気がする。
［潤side］
そっと洗面所を覗いたら、翔にぃに髪の毛を
洗ってもらっている和がいた。
ここ数日は、辛くて苦しい状態が続いていたから
リラックスした表情は久しぶりかも。
軽く目を閉じていて、時折口角をキュッと軽く
上げながら、翔にぃと智にぃの会話を聞いている。
智「気持ちいいね、かず」
和「…ん」
軽く首を動かして意思表示も出来ていて。
気持ちが追い付いていない時は、人形みたいに
感情を出さないこともあったから…
「…よかった」
雅「ん、よかったね…」
一緒に覗いてた雅にぃも嬉しそう。
少しずつでいいからさ、こうして和の気持ちが
ラクになる時間が増えていったらいいなって思う。
もちろん俺らにできることは全部するから。
頼って、甘えてね。
かず。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
