2458.【2】 ページ8
［智にぃside］
雅「おいで、
のせてあげる」
和「…っ、ん…でき、る…」
雅「かず…」
トイレまで何とか歩いていったけど、すでに
息が上がって胸の痛みもあるから、自分で戻るのは
厳しそう。
それなのに和は、背中を向けた雅紀をペシリと
払って「自分で戻る」ってきかない。
この状況では歩かせるわけにはいかないけど
泣かせるわけにもいかなくて判断が難しい。
和「…っ、…くっ…」
雅紀とどうしようか…と悩んでいたら、胸元を
ギュッと掴んで苦しみ始めた和。
ギリギリの状態が続いていて、こうして小さな
発作を起こしてしまうことが何度かあって…
雅紀の膝を借りて仰向けに寝かせて、少し様子を
見ていれば落ち着いてはくれるけど、和にとっては
苦しいし、恐いしで可哀想なんだ。
いつ苦しくなるか分からないって恐いこと
だもんね…
「今夜は俺が付いてるよ」
翔「お願いします。時間で様子見にくるけど
何かあったら遠慮なく呼んでね？」
「ありがと…」
夜の間も目を離すのは難しい。
和室の布団に寝かせて付き添っていないと心配。
実際、夜中に何度も小さな発作を起こして
いるんだ。
和「…っ、…っん、んっ…」
時計を見たら深夜1時過ぎ。
隣で眠っていた和が苦しみ出した。
和「…っん、ん…ん…」
「大丈夫だからね…」
ラクな体制に変えてやりながら、スマホで翔の
ことを呼び出す。
翔「ちょっと診てみようね…」
和「…っ、ん…苦し、い…」
翔「ん、苦しいな…智にぃにさすってもらおうか」
少しだけ落ち着いた和はポロポロと泣き出して
「もう嫌だ」「苦しい」って。
こんな状態が数日続けば、そりゃ参ってしまう
よね。
俺らだって辛いんだから、本人の負担は相当な
ものだと思う。
だけど泣き続けていては、苦しくなる一方だから
翔は辛さを分かった上で「あんまり泣かない。
苦しくなるから」って声を掛けた。
和「…っ、んくっ…んっ…」
翔「抱えてもらっていい？」
なかなか落ち着けなくて唇の色も悪くなってきて
しまったから俺が抱えるようにして座る。
体を捩って、ほんの少し抵抗していたけれど
そのうち大人しくなって…
「よしよし…」
こうして頭を撫でてやることで精一杯。
それがちょっぴり悔しくて、焦りの気持ちも
出てきてしまうけど…
和「…っ、ずっと、いて…？」
「もちろん…」
手をギュッと握ってきて、真っ赤な目で見つめて
くる和を見たら、守ってやらなきゃって…
強い気持ちがもてる。
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
